東京海上日動の火災保険大改定(其の弐)

2010年1月に東京海上日動火災保険株式会社の火災保険大改定を行います。その改定内容は大きく分けると3つの要素があると思います。
1つ目は損害保険料率算出機構が昨年に行った火災保険の参考純率の制度改定です。損保料率機構から正式にニュースリリースされなかったので書きそびれてしまいましたが、「火災保険の大改定(其の壱) 」(2008.10.19)で触れた内容のものです。
2つ目は保険法対応によるものです。
3つ目は東京海上日動の独自の商品および付帯サービスの見直しです。1つ目と2つ目は必然的にやらなければならないものですが、3つ目だけは個社マターの内容です。
 
11月3日に「東京海上日動の保険法対応の案内 」で、火災保険改定について商品改定の内容をまとめたページ「商品改定のご案内」が存在すると書きました。
それは以下のページです。
「2010年1月 火災保険の商品改定」
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/kasai/revise.html
東京海上日動火災保険株式会社 住まいの保険>火災保険の商品改定に関するご案内)
このページそのものよりも、その中に張ってある PDFファイルの方が詳しく書かれています。
内容については、上に挙げた3点のうち、1つ目の参考純率の制度改定と3つ目の商品・サービスの見直しだけに絞ったものとなっています。
保険法対応の内容については別の「保険法改正に関するお知らせ」にて行ったという整理なのでしょうか?それにしては、随分と不足しているように思います。
 
予想外だったのですが、東京海上日動はこの火災保険改定でリテール分野のメイン商品について既存種目を改定するのではなく、新種目で認可を取りに行くという選択肢を取ったようです。それはペットネームではなく、正式名称がこれまでの「個人財産総合保険」から「住まいの保険」になっていることから明らかです。
ペットネームについては、自動車保険の「トータルアシスト」と同じにしています。その点については、「東京海上日動の火災保険大改定(其の壱)」(2009.7.5)の時に判明していた内容です。
 
「住まいの保険」は住宅物件だけでなく、住居部分があれば一般物件も保険の対象とするようです。最近の火災保険はこの手のものが多いので、それに倣ったと思われます。
また、それに伴って、対象とする保険の目的の範囲も拡大されているようです。
 
構造級別に関しては、参考純率の制度改定をそのまま取り込んでいるようです。つまり、M,T,H構造の区分での引き受けとなっています。
参考純率制度(改定後)においては一般物件は1,2,3級の区分のはずですが、「住まいの保険」の説明を読む限りでは併用住宅(一般物件)もM,T,H構造に分類しているように思えます。この辺は本当にそうなのか、ちょっと謎です。
確か、一般物件において、1級:耐火,2級:準耐火,3級:それ以外 という基準だったかと思いますので、単純に1級=M構造,2級=T構造,3級=H構造というわけにもいきませんし、そもそも参考純率そのものが異なります。
 
補償そのものについては、シンプル化に沿った部分と逆行している部分があります。
シンプル化に沿った部分というのは、風災と水災の保険金支払方法と免責金額についてです。風災と水災についても火落爆と同じく新価実損払・免責金額共通としている点です。
シンプル化に逆行している部分というのは、普通保険約款内に費用保険金を増やしている点です。損害防止費用は普通保険約款内にあるのが妥当ですが、失火見舞費用や水道管凍結修理費用を自動補償にするのは先般の付随的保険金の不払問題の対策に反するものであり、また不要な補償を契約者に押しつけるものとなっており愚策だと思います。
なお、「損保ジャパンの火災保険大改定(其の弐)」(2009.9.2)で書いたように株式会社損害保険ジャパンは火災保険に評価済保険を導入しましたが、この「住まいの保険」は評価済保険ではないように見受けられます。
 
今回は、商品改定の案内ページからここまで書きましたが、いずれ約款を読んで気付いた点を書こうと思います。