ソニー損保の自動車保険改定(2010年2月)(其の弐)

先ほどは「ソニー損保の自動車保険改定(2010年2月)」(2009.11.23)にて、ソニー損害保険株式会社自動車保険の保険法改定を2010年2月に行うということを書きました。
その保険法対応版の「普通保険約款・特約条項」と「重要事項説明書」が入手できました。
 
その「重要事項説明書」がどのように変わったのか見ていこうと思います。比較対象は1つ前の2009年2月版の「重要事項説明書」です。
ソニー損保の「重要事項説明書」は「契約概要のご説明」「注意喚起情報のご説明」「その他のご注意点のご説明」の3部構成です。これらを順に見ていきます。
まず全体的にボリュームが増えています。12ページだったものが、16ページになっています。
また、表紙に以下の文言が追加されています。

なお、ご契約者と補償の対象となる方が異なる場合には、補償の対象となる方にもこの説明書の内容をご説明くださるようお願いします。

この点に関しては、「日本興亜損保の自動車保険改定(保険法対応)(其の弐)」(2009.10.27)や「東京海上日動の自動車保険改定(保険法対応)(其の壱)」(2009.10.28)と同じです。
 
以下「契約概要のご説明」の変更で気になった点です。
「1.商品の仕組みおよび主な引受条件等」の「(3)補償される運転者の範囲について」について、新設された特約である「運転者本人限定特約」が反映されています。
「1.商品の仕組みおよび主な引受条件等」の「(6)主な特約およびその概要」については、列挙される特約が一部変わっています。今回新設された「対物超過修理費用補償特約」が追加され、「あしすと特約」と「人身傷害諸費用担保特約」が削除されています。
「1.商品の仕組みおよび主な引受条件等」の「(8)引受条件(保険金額等)」の記名被保険者の決定方法の書きぶりが変更されています。具体的には、『補償の対象となるお車を日常主に運転される方の中から1名』だったのが『補償の対象となるお車を日常主に運転される方や、補償の対象となるお車を事実上自分の所有物とし、貸与権・使用許諾権等を有している方の中から1名』になっています。
 
以下「注意喚起情報のご説明」で気になった点です。
変更があって然るべきである告知事項の説明が見当たりません。見積り画面で告知事項であると示している項目がすべて注意喚起情報で告知事項として列挙されているべきであると思うのですが、それがなされていません。この点に関しては、非常に大きな不備であると思います。ちなみに、この注意喚起情報で告知事項として挙げられているのは、「使用目的」「契約距離区分」「既走行距離」「免許証の色」だけです。
「1.告知義務・通知義務等」の「(2)契約締結後における注意事項1− 通知義務」と「(3)契約締結後における注意事項2− その他の通知事項」は、保険法で通知義務の項目(通知事項)の定義が変更になったことから、従来は1つだったものが分けられました。1つ突っ込んでおくと、通知事項の中に告知事項の訂正が混ざっているにも関わらず、通知義務としているのは正確ではないと思います。
 
以下「その他のご注意点のご説明」で気になった点です。
「1.ご契約時にご注意いただきたいこと」の「(5)車両保険の免責金額について」が新規に設けられており、ノンフリート等級により選択できる車両免責金額のパターンを明示しています。これを見ると、結構細かく引受制限を設けていることが分かります。
「2.ご契約後にご注意いただきたいこと」に「(4)重大事由による解除」が新設されています。
「7. 団体扱のご契約について」が新設されています。ソニー損保はダイレクト系損保にも関わらずもともと団体扱特約を持っていました。ただ、その販売実績の方は特に公開していないのでよく分かりません。それはともかく、団体扱固有の事項について今回新たに追加されています。
「8. 事故にあわれた場合の手続き」も新設されています。これは今までなかった方が不思議な項目です。しかし、単に新設されただけでなく、きちんと保険法対応に沿った内容(保険金請求書類,保険金支払期間,重複保険,先取特権)で作られています。
「9.補償内容のご案内」の「(1)お支払する保険金について」について、表の項目に補償の対象となる方が追加されています。保険法(第6条第3号,第69条第3号)では保険証券記載事項として、被保険者が追加されています。重要事項説明書への記載は求められていませんが、これの影響を受けたものではないかと思われます。
変更点ではないのですが、ソニー損保の「9.補償内容のご案内」の「(1)お支払する保険金について」は一覧性の観点で非常によくできていると思います。どんな補償が自動車保険に用意されているのか、すぐに知ることができます。勿論、概要なのでざっくりとした内容ですが、何があるか分かってしまえば、細かい点は約款を読めばいいのですから。惜しむらくは、ソニー損保の約款はサイトで簡単に見つけることができない点です。