日本興亜損保の業務改善計画

日本興亜損害保険株式会社が保険金支払遅延に対して受けた行政処分に定められた業務改善計画の提出日が本日でした。
よって、業務改善計画が同社サイトにて公開されています。
「業務改善計画の提出について」
http://www.nipponkoa.co.jp/news/whatsnew/2009/news2009_11_24_kaizenkeikaku.pdf
日本興亜損害保険株式会社 ニュースリリース 2009.11.24)
この業務改善計画の項目だけをピックアップすると以下のとおりです。

1.迅速な保険金支払に向けた保険金支払管理態勢の構築
(1)経営陣の意識改革
(2009年10月〜12月実施予定)
(2)損調業務品質向上運動の展開
(2009年10月以降実施中)
(3)「保険金支払管理規程」の改正
(2009年12月実施予定)
(4)迅速な保険金支払に向けた保険金支払管理態勢の経営によるチェック
(2009年12月以降実施予定)
2.未払事案管理態勢の整備
(1)損害サービスセンターにおける未払事案打ち合わせ方法の見直し
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月以降実施予定)
(2)未払事案打ち合わせの実効性向上に向けたツールの作成と使用
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月
以降実施予定)
(3)損害サービスセンターの要員間の業務分担の見直し
自動車保険:2010年度以降実施予定)
(4)「QOSオフィサー」の設置
(2010年度以降実施予定)
(5)損害サービスセンター事務の効率化の推進
(2009年12月以降実施予定)
(6)本社による支援
自動車保険:2009年10月以降順次実施)
(7)損害調査システムの改定
(自動車・火災新種保険:2009年12月以降実施予定)
3.保険金支払手続に係る規程・マニュアル等の検証
(2009年10月以降順次実施)
4.保険金支払手続に係る規程・マニュアルの見直し・整備
(1)事務処理別「標準所要日数」の設定
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月実施予定)
(2)「各種調査の適切な実施タイミング」基準の策定
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月実施予定)
(3)「交渉経緯記録ルール」の策定
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月実施予定)
(4)「お伺いコール」のルール策定
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月実施予定)
(5)迅速な保険金支払推進のための管理指標の追加
(2010年6月実施予定)
(6)マニュアルの新設・改定
(2009年12月以降実施予定)
5.保険金支払手続に係る規程・マニュアルの見直し・整備後の業務の確実な実施
(1)未払事案一斉点検の実施
自動車保険:2009年10月〜11月実施中、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月実施予定)
(2)定例業務自主点検による検証
(2009年10月以降実施中)
(3)業務監査部、保険金支払管理部による検証
(2009年12月以降実施予定)
6.各種教育・研修の実施
(1)Web研修の実施
自動車保険:2009年10月実施済、火災新種保険・マリン種目保険:2009年12月実施予定)
(2)全店統一コンプライアンス・ミーティングの実施
(2009年11月実施予定)
(3)経営陣によるメッセージ
(2009年11月実施)
(4)人身傷害保険事務処理適正化の教育
自動車保険:2009年8月以降実施中)
(5)車両保険における損害評価ルールの明確化
自動車保険:2009年12月実施予定)
(6)集合研修への「損調業務品質向上運動(QOS)」導入
(2009年12月以降実施予定)
(7)「迅速な保険金支払」に向けた社員意識調査の実施
(2010年度以降実施予定)
(8)お客様アンケートの改訂
自動車保険:2010年度以降実施予定)
(9)お客様の声(苦情)の分析
(2010年度以降実施予定)
(10)「損調チャレンジ月間」の項目見直し
(自動車・火災新種保険:2010年度以降実施予定)

この保険金支払遅延について、日本興亜損保は現場の不手際という整理で金融庁に報告しましたから、業務改善計画もそれに合わせて絵が描かれています。
「日本興亜損保の保険金支払遅延(其の参)」(2009.10.24)で書いたことの繰り返しとなりますが、経営陣が支払遅延の指示をしたのだろうと私は思っています。少なくとも、現場に対してそう受け止められるであろう指示をしたという話はちらほらとネットでも見ることができました。
そういう意味でこの業務改善計画は単なるスケープゴートで、本質的な改善計画ではないというのが私の見方です。
そして、経営陣が己の保身をコンプライアンスよりも大事に思っている限り、遠くない将来に再び別の不祥事を起こすだろうと私は思っています。