火災保険の盗難の勘違いの訂正記事と新たなる頓珍漢

先週の12日(土)に「火災保険の盗難の勘違い」では、朝日新聞荻原博子氏のコラムで、荻原氏が「建物を保険の目的とした場合の「盗難」とは、建物そのものの盗難」と勘違いしているという話を取り上げました。
この件について、荻原氏は自らの誤りを認めて、記事中の『建物の盗難補償というのもありますが、マンションが盗まれるなんてことはないでしょう。』の部分を削除しました。
そのことは、16日のコラムにて以下のとおり書いています。

先週のコラムで、火災保険について「建物の盗難補償というのもありますが、マンションが盗まれるなんてことはないでしょう」と書きましたが、火災保険の建物の盗難補償は、泥棒が盗みに入った時に、窓を破ったとかサッシを壊したという損害ですので、訂正して削除します。

従って、現在、Asahi.com件のコラムでは誤りは見れなくなっています。
誤りを認めて訂正したことについては、一定の評価をすべきことかと思います。とは言っても、マイナス100点だったのが、マイナス50点になる程度のことですが。
 
ここまでの話であれば、ちょっとだけ見直したということで終わるのですが、今週のコラムにて荻原氏は妙なことを書いて、完全に損害保険の実務について何も知らないことをさらけ出しています。
↓のコラムのタイトルを見ただけで、損保の営業をしている者なら「火災保険の解約手数料?この人は何言ってるんだ?」と思うのではないでしょうか?
「火災保険の解約手数料は、生保に比べて低い」
http://www.asahi.com/business/topics/ogiwara/TKY200912160215.html
Asahi.com 荻原博子のがんばれ!家計 2009.12.16)
このコラムの主旨は以下の部分です。

火災保険のいいところは、中途解約した場合、生命保険のようなむちゃくちゃ高い解約手数料を取られなくて済むところ。
解約したら、どれくらいのお金が戻ってくるかは、セゾン自動車火災保険という会社がインターネット上で公開しています(http://www.ins-saison.co.jp/products/fire/eraberu/contract.html)。これを見ると、残りの年数分の保険料は、ほぼ戻ってくると思っていいでしょう。もちろん、どれくらい戻ってくるかは会社によってちがいますが、多くのところはこの表とそれほど大きく変わらず、生命保険の解約返戻金ほどたくさんの手数料は取られないと思っていいでしょう。

早い話が、解約返れい金(未経過保険料)の戻りの割合が比較的大きいことを言いたいのではないかと思われます。
そうならそうと普通の言葉を使って書けばよいものを、わざわざ特に一般的でもなく、損害保険に存在しない言葉を使って書く意味は全くないと思います。
確かに間違いではないのですが、一般消費者に広く読んでもらうために有識者(?)が書く文章としては適切とは言い難いです。
 
実際のところ、火災保険の未経過保険料の計算においては、新契約費が全期に渡ってかかっていますし、予定利率による金利の影響も入っています。この点に関して、月割や日割とはまったく違います。
ただ、その新契約費が与える影響が比較的小さく、予定利率も現在は非常に低いので、一見するとほぼ経過期間に比例した金額が戻ってくるように見えるのでしょう。ちなみに、保険始期が古い契約だと予定利率5%で計算されているはずです。今では、1%程度かと思います。
 
損害保険について何も知らないなら朝日新聞のようなマスコミに記事を書くなと言いたいところですが、何故平気でこのようなことができるのか私には理解できません。また、このような人を利用する朝日新聞も信用できないと思っています。