保険業界とアメリカの広告規制

インターネット利用者の立場として、日経ビジネスオンラインに広告に関する興味深い記事がありました。そこで保険業界においてどうなのかとつらつらと考えてみました。
「米“クチコミ”広告規制の波紋」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100115/212143/
日経ビジネス IT・技術 > 時事深層 2010.1.20)

連邦取引委員会(FTC)が導入した規制に注目が集まる。ブログなどを用いた推奨広告に報酬表示の義務を課した。消費者庁が発足した日本も、規制が導入される可能性がある。
2009年12月以降、企業のマーケティングや広報担当者などの間で、「日本国内でも“クチコミ”を使った販促が難しくなるのでは」と懸念する声が高まっている。不景気で広告の費用対効果にシビアになる企業が多い中、ブログなどを使った推奨広告、いわゆる「クチコミ販促」に規制がかかる兆しが見られるからだ。

どうやら、報酬を得ているにも関わらず、そのことを伏せて良い評判を流すことがアンフェアな行為として問題視されているようです。
保険業界においては、保険会社がブロガーや記者に報酬を払ってクチコミを流すということは広告規制以前に募集行為の規制に引っかかるので行われていないはずです。ライフネット生命保険株式会社イーデザイン損害保険株式会社には、バナーを利用してブロガーと連携していこういう動きがありますが、少なくとも金銭的な報酬は出していないようです。(私はやっていないので、外部から見た推測です。)
一方、プロ代理店がそのことを伏せて他のチャネルの代理店や直販を貶す行為も私はアンフェアだと思っています。こちらはよく見かけます。行為者には自ら拙い行為だという自覚がないようですから、外部の規制がこのような行為には必要かもしれません。
 
FTC の広告規制については、同じ日経ビジネスの中で須田 伸氏が連載「Web2.0(笑)の広告学」で取り上げており、その内容や影響について以下のトピックで書かれています。
「「個人の感想であり、商品の効能を確約するものではありません」は、法律で禁止されます
 FTC規約改訂の衝撃」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20091016/207275/
日経ビジネス IT・技術 > Web2.0(笑)の広告学 2009.10.20)
「「この映画を見て、チョー感動しました!」は、法律で禁止されるのでしょうか?」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20091023/207910/
日経ビジネス IT・技術 > Web2.0(笑)の広告学 2009.10.27)
「「女性誌やクルマ雑誌は全滅だ」。思わず広告マンは呟いた」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20091102/208630/
日経ビジネス IT・技術 > Web2.0(笑)の広告学 2009.11.4)
 
アメリカで行われたことが数年遅れて日本に入ってくるということは、いろんな分野で起こっていることなので、この件についても同様になる可能性は低くないと思います。また、金融分野に関しては、勧誘・募集に関する規制として別途動きがあるかもしれないことを考慮しておいた方が良いかもしれません。
そう言えば、金融審議会金融分科会第二部会 保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいても、2009年6月19日に公表された中間論点整理で、提供されている保険に関する情報が中立的な立場でされているかどうか消費者が知る術がないことについて触れられていました。ただ、こちらは民主党政権になってから、全く動きがありません。