保険における情報格差と販売

ここ10年くらいでインターネットが急速に普及したことと保険の募集についてつらつらと考えてみました。
一般論として、販売側と消費者側では販売側の方が多くの情報を持っています。例えば、エアコンだったら電気屋の方が消費者より詳しいし、自動車だったらディーラーの方が詳しいです。当然、保険においても、販売側である保険代理店の方が保険契約者よりも詳しいです。
ここまでは保険も普通のものと同じですが、この先がやや違います。
エアコンや自動車の場合は、それを利用するのに必要なレベルにおいては消費者も何故か知っており、利用にあたって販売側がいなければ困るという事態は普通は生じません。また、購入にあたって、どれを選ぶのかについて、販売側のアドバイスは多少あるかもしれませんが大抵は消費者が主体的に選択すると思います。
一方、保険はそれを利用するのに必要なレベルが保険契約者に備わっているかというと結構怪しいものがありました。また、複数の保険商品から保険契約者が主体的に選択することは滅多になかったと思います。
インターネット普及以前は、上記のような状況でしたから、その情報格差を販売にあたって利用していた面もあったと思います。
 
インターネットが普及した現在、充分とは言えないものの保険契約者が保険に関する情報をタダで入手できるようになりました。
また、インターネットの普及とは無関係ですが、1996年以降、保険自由化に伴う保険契約者の選択肢の拡大とともに、販売側に対して説明責任を果たすことを求める風潮が広がりました。
そのため、徐々にではありますが、保険利用や選択にあたって必要なレベルに関しては、情報格差は減少しつつあると思っています。
上で、エアコンや自動車の例を出しましたが、それと同じように保険においても、必要なレベルの情報を知ることができるのが正常なことと考えています。
従って、情報格差を利用して販売側が主導的に保険契約者をコントロールするという時代は終わりつつあり、逆に保険契約者が主導権を持って保険を選び利用することになろうかと思います。
そこでは、積極的に情報(商品内容・サービスと価額)を開示して、保険契約者に納得の上で選ばれることをいかに目指すかという競争が生じるでしょうし、事実その傾向にあると思っています。
あるいは、これまでどおり情報格差を利用して募集を行う方針を取るのであれば、正に専門家というべきレベルに達して、その見地から販売をするしかないかもしれません。