モバイル損保の設立準備

あいおい損害保険株式会社KDDI株式会社がモバイルでの募集をメインとする保険会社を合弁で設立する旨のニュースがありました。
「損害保険会社の設立に向けた合意について」
http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2010/20100129_2.pdf
あいおい損害保険株式会社 ニュースリリース 2010.1.29)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2010/0129a/index.html
KDDI株式会社 ニュースリリース 2010.1.29)

あいおい損害保険株式会社(以下「あいおい損保」)と、KDDI株式会社(以下「KDDI」)は、関係当局の許認可等を前提に、モバイルを主体とする顧客・マーケット志向の新たな損害保険会社(以下「新損保会社」)の設立に向け、共同で準備を進めることについて本日合意しましたのでお知らせいたします。

このニュースリリースでは明らかに「モバイルを主体」と謳っています。保険募集におけるネット化の進展は、私が考えているよりもやや早いようです。
ちなみに、2009年1月22日に東京海上ホールディングス株式会社NTTファイナンス株式会社と合弁でイーデザイン損害保険株式会社(正確には準備会社)を設立する旨をリリースした際は、「モバイル・ネットなど」と記載しており、モバイルがメインとはしていませんでした。
ただ、損保会社+携帯通信会社という組み合わせは類似しています。
 

このたび設立を目指す新損保会社では、携帯電話ユーザーのライフスタイルに応じた損害保険を、au携帯電話コンテンツの一環としてラインナップすることにより、「いつでも、どこでも、手軽に」利用できる、従来まではなかった全く新しいコンセプトの損害保険事業を展開していきます。
例えば、KDDIau携帯電話向けに提供する各種モバイルコンテンツと傷害保険等の組み合わせや、au携帯電話、サービスの利用シーンに応じた最適な保険の付加など、auだからこそできる、新しい保険サービスの実現を目指します。

この部分は、KDDIらしさを出しています。
一方、イーデザイン損保は NTT陣営ですが、あまり NTT色は出ていないように思えます。それは保険商品が自動車保険であることの影響があるかもしれません。自動車保険と携帯電話はつながりはほとんどありませんし、担保種目の多い自動車保険は携帯電話での募集も難しいと思います。
この新会社で販売する種目は、傷害保険 と 携帯電話・サービスに最適な保険だそうです。後者の方は、動産総合保険や盗難保険が想像できますが、明記されていないので何とも言えません。でも、自動車保険ではないことは確実でしょう。
はっきりしているのは、傷害保険です。確かに、傷害保険なら重要事項や契約内容が比較的単純なので、モバイルでの募集に向いています。
また、インターネットならともかく、モバイルで傷害保険を募集している保険会社は現時点では存在しないと思います。という事は、競争相手がいないということを意味します。
ただ、傷害保険は加入の必然性の薄い保険ですから、どうやって契約者をその気にさせるのかという問題が残ります。保険料も低いので、収支をトントンにするには大量の件数が必要です。
そこさえクリアできれば、損害率は安定するでしょうから、成功する可能性はあります。無論、その逆に契約が想定したほど集まらずに失敗する可能性もあります。
 

また、保険事業の展開に必要な事務・システム、コールセンター、損害サービス体制等のインフラや商品開発業務等については、あいおい損保が支援することにより、速やかな事業立ち上げと効率的な業務展開を図ります。

この部分から、保険会社の中身はあいおい損保そのものであろうと思われます。
ついでに、出資比率も 2/3 があいおい損保であること、社長もあいおい損保から出すことから、実態はあいおい損保の一事業部門と言えそうです。