保険の広告とステルスマーケティング

今年の年初は食べログステマ問題が結構話題になりました。ステルスマーケティングと保険の広告については「保険業界とアメリカの広告規制」(2010.1.24)で以前書いたのですが、また改めて別の事を取り上げながら書くことにしました。
この時は未だステルスマーケティングという言葉がなかった(私が無知なだけだったかもしれません)ので、そういう表現はしていませんが、趣旨は同じです。
そう言えば、↑のブログの末尾に書いた『アメリカで行われたことが数年遅れて日本に入ってくるということは、いろんな分野で起こっていることなので、この件についても同様になる可能性は低くないと思います。』は規制ができるだろうという予測としては当たりませんでした。消費者庁アメリカの規制を参考に先手を打っていれば、ステマ問題は大きくはならなかっただろうと思っています。
 
さて、保険の広告でステマの入り込む余地が考えられるものとして「消費者アンケートによるランキング」と「口コミ・Q&A」があります。
 
「消費者アンケートによるランキング」は、割と一般的に行われているようで、オリコン価格.com楽天などでやっています。
これらのランキングを見るとダイレクト系損保が上位にきているのが目立ちますが、保険料面で優位であることとネットと親和性の高い母集団であることが大きな理由でしょう。
ここでステマは行われうるか?という問いに関しては、私はNOだと思います。少なくとも大勢に影響を及ぼすレベルでは起こりえないと思っています。
その理由は、第一に運営者にとってステマがあると大きなデメリットが生じるために排除しようというインセンティブが働くということがあります。運営者にとってランキングは2つの意味があります。1つは有用な情報を消費者に提供することによって自社サイトの利用促進に繋げること、もう1つはランキングで上位に入った企業に対してランキング上位であることを宣伝に用いる許可を与えることによってその対価を得ることです。そのランキングがステマで毀損するようなことがあれば運営者は大きな損失を被ります。
もう1つの理由は、保険会社がステマというリスクを犯してまでランキング上位を取ろうというインセンティブは生じないからです。上で挙げたようにランキングサイトは1つだけではないし、ランキングで上位を取れなければ、そのサイトのランキングを自社の広告に使わなければいいだけのことだからです。
 
「口コミ・Q&A」は、正直なところ実態がどうなのか分かりません。
さすがに口コミサイトであからさまなのは見たことがないのですが、OKWaveYahoo!知恵袋などのQ&Aサイトとなると個々に対して当たり外れが大きく、ひょっとしてステマ…とまではいかなくとも当事者の投稿も混ざっているかもしれないと思っています。
尤も、以前に比べれば減ったように感じますが、反対の立場の人による批判的な書き込み−所謂ネガティブ・キャンペーンの方が多いような気もしますけど。
ただ、全体としてはサイトの信用を失墜させるレベルには全然至っていないと見て大丈夫のようです。