日本興亜損保の社長兵頭氏の問題

昨年度から日本興亜損害保険株式会社…というよりも社長の兵頭氏は、社内外からかなりの反発を受けています。
 
まず1つ目は、最大の株主のサウスイースタン・アセット・マネジメントです。
3月26日に「日本興亜損保vsサウスイースタン(第三ラウンド) 」で書きましたが、昨年度に引き続き、今年度も社長就任に反対することを表明しています。
 
そして2つ目は、副社長の橋本氏とその派閥(旧興亜火災の模様)です。
5月26日の「日本興亜損保の2008年度の数字」で副社長を更迭する人事案が出されたことを書きましたが、その原因は橋本氏を社長にしようとする動きがあったためという見方は間違いないと思います。ちなみに、橋本氏であることは「週刊ダイヤモンド(6/13号)」(下のリンク先と同じです)に書かれています。
7月13日の「ディスクロージャー資料のちょっと変わった見方」で軽く触れましたが、日本興亜損保の役員は旧日本火災であることから旧興亜火災出身者はおもしろくない思いをしていたのでしょう。それがこの機に噴出したように思えます。
 
3つ目は、前社長の松澤氏ら経営陣OBです。
ZAITEN 6月号「企業解剖 日本興亜損保経営統合」破綻の不安」に松澤氏が兵頭氏に対して不満を持っており何か動きがあるかもしれないと書かれていました。
また、週刊ダイヤモンドでも以下の記事でもっとダイレクトにこのことについて書いています。
日本興亜の経営陣への不満続出 損保ジャパンとの統合は白紙も」
http://diamond.jp/series/closeup_e/09_06_13_001/
(DIAMOND ONLINE 企業・産業 > Close-Up Enterprise 2009.6.8)

「損保ジャパンとの経営統合に反対します」
4月中旬、日本興亜損害保険の兵頭誠社長宛てに送られた一通の文書が、社内に大きな衝撃を巻き起こしている。
  (略)
だが、この文書が衝撃を呼んだ理由は、その内容にあるのではない。文末に書かれた送り主の名前にあった。
「北澤新、松澤建、小松敏行、下井健守」

ZAITEN の記事によると今回の統合は兵頭氏の独断であると書かれています。確かにステークホルダーのコンセンサスを得て決定した事項なら、このようなことにはならないでしょう。尤も、株式会社損害保険ジャパンとの統合についてコンセンサスを得ることは不可能に近いことだったかもしれません。
 
また、以下の話もあります。
日本興亜、統合に不安の影 株主の元役員 経営陣責任訴訟準備」
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200906060105a.nwc
(FujiSankei Business i 2009.6.6)

2010年春に損害保険ジャパン経営統合を予定する日本興亜損害保険の株主である元役員が、経営陣の責任を問う株主代表訴訟を準備していることが5日、明らかになった。日本興亜をめぐっては筆頭株主の米投資ファンドが昨年に引き続き、兵頭誠社長の再任反対を表明。経営陣への不満が広がっており、25日の株主総会は大荒れの様相を呈してきた。

 
これらの反対勢力はバラバラのようで、おそらく兵頭氏に代わる社長を誰にするのかという点で一致しないものと思われます。
しかし、それにしても兵頭氏が社長に再任されるハードルは去年に比べて相当高くなったことは間違いありません。私個人の見方としては、再任されないんじゃないかという気がします。
そうなれば、その次の統合も破談になる可能性も極めて高いと思います。