日本興亜損保 統合反対の火種

日本興亜損保の真の発展を願う株主有志」と自ら名乗る4人組(北澤 新,松澤 建,小松 敏行,下井 健守)がサイトを立ち上げて、日本興亜損害保険株式会社に対して、株式会社損害保険ジャパンとの統合の反対の意思を表明しています。
http://nk-y.blogspot.com/
9月11日に公開された文書は以下のとおりです。
「損保ジャパンとの経営統合計画を白紙に戻し、新たな社長のもとで戦略の再構築を!」

日本興亜損保の損保ジャパンとの経営統合計画について、去る4月12日に、私達は兵頭社長宛に添付の文書を送り反対を表明しました。この経営統合計画を白紙に戻し、新しい社長のもとで複数の選択肢を検討した上で、新たな戦略を構築すべきであると私達は、考えておりますことをお知らせいたします。
6月25日の日本興亜損保株主総会では、株主から経営統合に関わる質問がありましたが残念ながら兵頭社長は誠実に回答をしようとしませんでした。更に7月29日には、経営統合計画に伴う共同持株会社の新設について発表がありましたが、新会社の傘下に日本興亜損保と損保ジャパンが今後10年間は存続・並列し、合併しないとのことです。この計画では、経営統合するメリットも企業価値の向上も期待できず、株価も上がるとは思えません。
我が国の、そして世界の保険業界は大きな変革の時期にあります。そのため、独立を維持するか、提携・統合・合併を選ぶかは格別に重要な課題であり、拙速ではなく、的確な論理と判断が必要であることは言うまでもありません。
今回の経営統合計画の問題は、私達が指摘してきたように、様々な選択肢を十分に検討せずに、相手側の強い呼びかけに安易に応じてしまったと思われることです。損保ジャパンとの経営統合は現状では日本興亜損保の関係者に大きな不利益をもたらすものと考えます。
特に、サブプライムローンに始まる金融危機により、一部の保険会社は大きな損失を被ったと報道され、損保ジャパンは、資産を毀損し劣後債を発行するに至っています。兵頭社長はこの点について説明をしていません。サブプライムローンの影響は更に拡大するとの見方もあります。幸い日本興亜損保は従来から堅実な資産運用と再保険引受の方針を貫いてきていたため、直接的な悪影響をほとんど受けていないはずです。保険引受業務も資産運用業務も明確な責任体制のもとで、健全な財務内容を保持すべきであると考えます。
また、何故、拙速に来年4月に経営統合を行わなければならないかの理由が不明確と考えます。
併せて、また、既に指摘している通り、この計画では日本興亜損保が「みずほグループ」に入ると理解されてしまうことから、これまで歴史的に良好な関係にあった親密な金融機関との間に「ネジレ」が起きることになり、重要な存立基盤の一つが崩れることが懸念されます。この問題は決して軽視すべきものではありません。
私達は、この経営統合計画を白紙に戻し、自主独立路線で行くことも選択肢の一つに含めて、再編に関わる基本戦略を様々な選択肢を挙げて再検討すべきと考えます。
兵頭社長は6月の株式総会で再任されました。しかし、12月に予定されている臨時株主総会では経営統合に必要な2/3以上での承認決議が得られないのではないかとの観測が既に報道されています。
経営統合が否決された場合、兵頭社長は日本興亜損保の社会的信用低下の責任を問われることになります。このような状況から、12月を待つことなく新しい社長を選び、戦略を再構築することが、日本興亜保険グループの資産価値の向上につながるだけでなく、お客様、株主、代理店、社員など多くの関係者の利益に適うものであると私達は考えます。
保険会社を経営する優れた能力と日本興亜保険グループの歴史と伝統を理解し、社員・代理店・取引先などの信頼を得られる求心力とリーダーシップを兼ね備えた協調性のある人柄が、戦略の再構築を行う新しい社長候補者に求められます。日本興亜保険グループの関係者の中に適格者が必ずいると私達は確信しています。また、新しい社長を従来の発想に囚われない多様な人材でサポートすべきと考えています。
「新しい社長を選任すべき」、或いは「経営統合を白紙撤回すべき」との私達の考えに、多くの株主の皆様のご賛同を得られた場合には、臨時株主総会を既に予定されている12月を待つことなく開催し、「新しい社長」と「戦略の再構築」を審議することを提案したいと考えております。
私達は、株主として、多くの株主の皆様や日本興亜保険グループのご関係者の皆様に、私達の考えをご案内することを決意致しました。つきましては、皆様に、この考えに是非ご賛同頂きますよう衷心よりお願い申し上げます。
皆様のご意見を次ぎの連絡先までお寄せいただければ幸いに存じます。

この有志とやらのやり口には下品さを感じますが、主張している内容は多くの真実が含まれていると思います。
それでも、20年あるいは30年先を見るなら、多分統合した方がマシではないかと思えます。前社長(松澤氏)の頃に既に日本興亜損保はジリ貧を続けました。経営に非があるとしたら、前社長(松澤氏)の責任が一番重いのではないでしょうか。とにかく、ずるずると右肩下がりを続けるよりは、まだ比較的高く評価されているうちに統合という賭けに出るのはアリだと思います。
贅沢を言うなら、統合相手は損保ジャパンよりも東京海上日動三井住友海上の方が社員にとっては良いと思いますが、それは現時点ではもはや難しいでしょう。
 
この有志とやらが他の株主を巻き込んで、統合を阻止する動きをしているのは間違いのないところで、実際に12月の臨時株主総会で統合は承認されないかもしれません。
その可能性はけして低くないものと私は見ています。
しかし、そうなったらそれはそれで日本興亜損保の株価は相当低くなることが予想されます。株主にとって、それは許容できることかどうか悩ましい問題でしょう。余程の材料がないと持ち直さないでしょうし。
 
それにしても、6月の株主総会の時もそうでしたが、松澤氏の言動は品性がなく、このような人物に音頭を取らせて大丈夫なのか?と思えます。
尤も、兵頭氏も卑怯さや無能さで負けていないので、どちらも退場して欲しいというのが率直な感想です。
ちなみに、6月25日の「日本興亜損保の株主総会2009」で以下のことを知りたいと書いたのですが、その疑問もどうやら解消する日は来ないような気がします。

『現在の副社長2人を更迭し、その後任を置かないようだが、社長の独裁となり、適切な経営判断ができなくなるリスクはないのか?そのリスクに対してどのように備えているのか?』
『損保ジャパンはみずほ銀行,第一生命と親密であるが、日本興亜損保三菱東京UFJ銀行明治安田生命太陽生命と親密である。日本興亜損保の親密銀行,親密生保との関係強化に関して具体的なプランはあるか?もしそれがないと、統合後に関係が希薄となり営業成績に悪影響を及ぼす恐れがあるのではないか?』
『保険金先送りについて、何故そのような疑惑をもたれたのか?疑惑をもたれた原因について調べた結果を聞かせてもらいたい。また、一部のものが指示を曲解したと言っているが、そう捉えられること自体が重大な問題ではないか?曲解されたまま現場が実行したら、結果として保険金先送りが実施されることになることを理解しているのか?』