日本興亜損保の保険金支払遅延(其の弐)

保険金支払遅延が表面化した日本興亜損害保険株式会社ですが、共同通信のニュースによると23日に金融庁行政処分が下りるそうです。
日本興亜に業務改善命令へ 金融庁、保険金支払い遅延で」
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102201000561.html
(47NEWS 2009.10.22)

金融庁は22日、日本興亜損害保険に対し、40件を超える保険金の支払い遅延があったとして23日にも業務改善命令を出す方針を固めた。保険金支払いに関する適切な管理態勢の整備を求める。
   (中略)
日本興亜は「意図的な遅延はなかった」と説明しているが、保険業法では保険会社が保険金の迅速な支払いを含め業務を適切に運営するよう定めている。同社の約款では原則として請求完了日から30日以内に支払うと規定しており、金融庁は内部管理態勢に不備があると判断したもようだ。
日本興亜の株主である元役員が支払い遅延を指摘。同社は事実を否定していたが、金融庁の指示を受けて調査を実施し、同庁に報告した。

年度初めには同社のトップサイトに掲示してまで保険金支払先送りはないと公表したのに比べ、都合の悪いことはぎりぎりまで公表しないという同社の体質は問題視されるべきです。既に18日の時点でほとんどのマスコミが報道していたのですから、金融庁への報告と時を同じくして、サイトに公開することは問題ないと思います。
そして、どうもこの記事を見る限りでは、日本興亜損保はやはり経営陣は関与していないという内容で金融庁に報告をし、金融庁はそこには突っ込んだ調査を行うことなく、報告された内容で以って処分を下すように思われます。
その辺りの詳しい事情は実際に処分が下りた時点で、金融庁のサイトを確認すれば分かると思っています。
cf.「日本興亜損保の保険金支払遅延(其の壱)」
 
約款には30日以内に保険金を払うと確かに規定していますが、保険法対応約款が適用されるまでは遅延の責任を負うことになっていないし、延滞利息を払うことともしていないはずです。正直な話、30日の約款の定めは余り意味を為していないような気がします。
余談ですが、日本興亜損保自動車保険の保険法対応約款は既に同社サイトで公開されており、2009年12月始期からとなっています。それはまた後で別途書くことにします。
 
それと、もう1つ日本興亜損保については話題があります。
9月17日に「日本興亜損保 統合反対の火種」で、「日本興亜損保の真の発展を願う株主有志」と自ら名乗る4人組(北澤 新,松澤 建,小松 敏行,下井 健守)がサイトで株式会社損害保険ジャパンとの統合の反対の意思を表明していることを書きました。そのサイトが以下の内容で10月22日に再び更新されています。
「臨時株主総会に向けて株主提案をしました」
http://nk-y.blogspot.com/2009/10/blog-post.html

                      2009年10月22日
臨時株主総会に向けて株主提案をしました
10月21日付けで、複数の株主による共同提案として次の事項を請求する文書を兵頭社長宛に送付しました。
来る12月に開催が予定されている当社の臨時株主総会に際し、会社法第303条の規定に基づき少数株主として次の事項を総会の会議の目的とし、且つ同議案の要領を臨時株主総会招集通知の中に記載するよう請求します。
議題「取締役兵頭誠、二宮雅也、山口雄一、橋本和生の4名の解任の件」
議案の要領
株式会社損害保険ジャパンとの経営統合に関わる会社提案の議案が否決された場合には、経営統合計画を主導・推進してきた兵頭誠、二宮雅也、山口雄一、橋本和生の各氏の経営責任を問い取締役の解任を求める。
                           以上

この内容も既にいくつかのマスコミで報道されています。社長の兵頭氏は当然として、既に更迭された元副社長まで含まれているところを見ると、ドサクサに紛れて松澤氏から見たジャマ者をついでに一掃しようとしているように感じられます。
ただどっちみち、統合が失敗に終われば、もはや先細りの未来しかないでしょうから、その後の経営陣が松澤氏の子飼いだらけになったところで大した違いはないのかもしれません。