アリコのクレジットカード情報流出 中間公表

アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーのクレジットカード情報流出事件に関して、同社は9月に調査結果を公表すると予告し、9月11日に業務委託先企業から流出した可能性が高い旨をマスコミ向けに公表しました。しかし、最も肝心な流出経路,今回の件を踏まえた再発防止策,どの範囲まで情報が拡散されたのかは公表されませんでしたし、犯人すら明らかにされませんでした。つまり、今回の発表は形だけのものであり、時間稼ぎか調査の諦めかいずれかと私は思っています。
ただ、「分かりませんでした」という結果になるのではないかと思っていたので、その点に関してはかなりマシなことになりそうです。実のところ、出口である悪用されたクレジットカードに関するアクセス側から警察がクレジットカード会社やプロバイダに協力を求めて、悪用した犯人側から遡って流出した犯人を突き止めるしかないかもしれないと思っていたのですが、入口側が絞り込めれば全容が判明するのも時間の問題と言えそうです。
 
なお、アリコのサイトの本件に関する以下のページにおいては、9月18日が最終更新日になっていますが、今回の発表については特に触れられていません。
「弊社のお客様のカード情報流出に関しまして」
http://www.alico.co.jp/about/09_0723.htm
ちなみに、9月18日更新箇所は「不正利用にあわれた場合の対処について」の部分の以下の箇所のようです。今回の公表とは無関係な内容です。

※不正使用の疑いがある事案としてクレジットカード会社より弊社に照会のあったクレジットカード会員数は、9月17日現在で4,290件となりました。(7月14日からの累計)

それにしても、流出した件数は 18,184名分だそうですから、約23.6%ものクレジットカード情報が実際に悪用されたということになります。保険業界において個人情報漏洩事故・事件は何度も起こっていますが、これほどの率で悪用されたケースというのは極めて稀です。(最近では三菱UFJ証券の例がありますが、あれは保険業界ではないので除外しています。)
 
今回の公表が問題に関する本質的な内容ではないという認識は、生命保険協会の協会長も同様のようで、以下のようにコメントしています。
「情報流出「重大に受け止め」=アリコ問題で生保協会長」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009091800741
時事ドットコム 2009.9.18)

生命保険協会の佐藤義雄会長(住友生命保険社長)は18日の定例記者会見で、外資系生命保険会社アリコジャパンの顧客情報流出問題について「重大な問題と受け止めている」と述べた上で、「アリコには一日も早く原因を究明し、再発防止策を立ててもらいたい」と早急な対応を求めた。(2009/09/18-17:17)

 
金融庁はおそらくアリコの最終報告を受けてから行政処分を行うことになろうかと思われます。
これは邪推かもしれませんが、アリコは行政処分(多分、一定期間の業務停止命令)の時期を自社の最も影響の少ない時に調整するために、報告時期を見計らっているのかもしれないと私はちょっと疑っています。