保険法改定による自動車保険の約款変更(其の八)

保険法改定による自動車保険の普通保険約款の変更内容を、ソニー損害保険株式会社の総合自動車保険 Type S で見てきました。
今回は、普通保険約款 第5章 人身傷害条項についてです。ソニー損保は今回の改定で、「人身傷害補償担保特約」を普通保険約款に含めました。ただ、補償に関してはほとんど変更がないので、特に気になった点だけを取り上げることにします。
なお、普通保険約款 第1章 賠償責任条項は「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の四)」(2009.12.27)で、普通保険約款 第2章 自損事故条項は「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の五)」(2009.12.27)で、普通保険約款 第3章 無保険車傷害条項は「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の六)」(2009.12.27)で、普通保険約款 第4章 搭乗者傷害条項は「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の七)」(2009.12.27)で、普通保険約款 第7章 基本条項は「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の壱)」(2009.12.1),「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の弐)」(2009.12.6),「保険法改定による自動車保険の約款変更(其の参)」(2009.12.26)で書いています。
 

第3条(保険金を支払わない場合−その1)

旧「人身傷害補償担保特約」の第7条(保険金を支払わない場合―その2)を一部変更したもののようです。被保険者の重過失について、「極めて重大な過失」から「重大な過失」となっています。また、飲酒運転については、他の傷害関係の補償条項と同様に、「酒酔い運転」から「酒気帯び運転」になっています。
 

第12条(保険金請求権者の義務等)

旧「人身傷害補償担保特約」の第16条(保険金請求権者の義務等)を一部変更したもののようです。第3項の義務違反時の規定が免責から保険金削減払になっています。このあたりは、基本条項第21条(事故発生時の義務違反)と同じです。
 

基本条項へ移設した条項

旧「人身傷害補償担保特約」の第13条(事故発生時の義務)は、基本条項第20条(事故発生時の義務)(2)にそのまま移されています。内容の変更はないようです。
 
旧「人身傷害補償担保特約」の第14条(当会社の指定する医師による診断)は、基本条項第25条(当会社の指定する医師が作成した診断書等の要求)にまとめられたと思われます。従って、保険会社の要求を拒否したときの免責は撤廃されたということになります。
 
旧「人身傷害補償担保特約」の第15条(重複契約の取扱い)は、基本条項第22条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)の重複契約の規定にまとめられました。従って、独立責任額按分方式から独立責任額全額支払方式に変更されています。
 
旧「人身傷害補償担保特約」の第18条(保険金の請求)は、基本条項第23条(保険金の請求)にまとめられました。従って、第2項の60日の提出期限の撤廃と保険金請求書類の明確化の変更があります。
 
旧「人身傷害補償担保特約」の第21条(時効)は、基本条項第27条(時効)にまとめられました。従って、保険金請求権の時効は3年となっています。
 

自損事故条項へ移設した条項

旧「人身傷害補償担保特約」の第22条(自損事故条項の不適用)は、自損事故条項第2条(保険金を支払う場合)(4)に以下の内容で移設されました。内容に変更はないようです。

(1)の規定にかかわらず、人身傷害条項により保険金が支払われる場合には、この自損事故条項は適用しません。

 
ソニー損保の総合自動車保険 Type S で調べたために、たまたま特約から普通保険約款に変更した影響で項目が多くなってしまいました。しかし、人身傷害補償保険そのものの保険法対応による影響箇所はごく僅かです。