東京海上ホールディングスの新中期計画骨子

東京海上ホールディングスの現在の中期経営計画「ステージ拡大2008」は、2008年度が最終年度です。日本興亜損保に倣って ということはないでしょうが、早々に新中期計画の概要を同社サイトに掲載していました。
余談ですが、東京海上日動のサイトにもやや遅れて同じものが掲載されました。しかし、グループ会社の他の日新火災東京海上日動あんしん生命東京海上日動フィナンシャル生命のサイトには現時点では掲載されていません。
 
東京海上グループの新中期経営計画について 〜「変革と実行2011」〜」
http://ir.tokiomarinehd.com/ja/NewsRelease/NewsRelease2108910854982964432/TopLink/RedirectFile/1205chukikeikaku.pdf
東京海上ホールディングス株式会社 News Release 2008.12.5)
 
現在、中長期的にめざすビジョンとして以下を掲げており、前回の中期経営計画「ステージ拡大2008」を策定したときはこれに沿ったものとしていました。

「ミレアグループは、保険のステージを拡大し、世界トップクラスの保険グループを目指します。」をビジョンに掲げ持株会社を通じ、グループの総合力を結集し、グローバルに安心と安全の拡大を目指していきます。

ディスクロージャー誌「2006東京海上日動の現状 P.8」より)
新中期計画では、中期ビジョンを以下にしています。『品質』という文字が入っていることと『世界トップクラス』が削除されたことを除けばほぼ同じです。

お客様に品質で選ばれ、成長し続ける「グローバル企業グループ」

 
4.主要事業の成長戦略 (1)国内保険事業 ?強いお客様接点 に書かれているセコム株式会社との提携が気になります。セコムには、セコム損害保険株式会社があり、セコム本体と密接に結びついているはずです。もしかしたら、3年後にはセコム損保は東京海上ホールディングスに買収されているかもしれません。

■■セコム株式会社との提携■■
このたび、代理店が「安心と安全」のコンサルティングサービスを提供するために、ホームセキュリティ事業トップブランドのセコム社と提携いたしました。セコム社が開発した東京海上日動専用のホームセキュリティシステムを主要代理店が独占販売し、代理店の「安心と安全」のコンサルティング力強化を支援してまいります。

この点に関しては、日経新聞に以下の記事がありました。
東京海上、セコムと提携 保安システム、損保代理店で販売」
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081206AT2C0501905122008.html
日経新聞 2008.12.5)

テコ入れ策の一環としてセコムと提携し、来春にも自社の損保代理店で家庭向け保安システムの販売を開始、代理店の商品提案力を高める。
東京海上はセコムが開発した専用システムを1000―1500程度の代理店で販売する。初年度6000件、5年後に5万件を目指す。東京海上は保安システムの販売を通じ、火災保険など損保の顧客のすそ野を広げたい考え。

 
4.主要事業の成長戦略 (1)国内保険事業 ?モバイル・ネットを活用したビジネスモデルの確立 も少々気になります。

新中期経営計画期間の早い時期に、携帯電話等のモバイル・ネットの活用を中心とした損害保険商品販売の新たなビジネスモデルを構築し、これまでの東京海上グループとは異なるお客様層を対象とした事業領域への進出を検討してまいります。

国内リテール分野で伸びが期待できるのは、ネット販売くらいではないかと思います。東京海上日動は通販をほとんどやっていないし、提携しているダイレクト系損保もありません。この点に関しては、他の大手損保の後塵を拝しています。本体で通販をやるか、別会社を作る/既存会社を買収するかしてネットでの保険販売に乗り出してくる可能性があると思っています。
ちなみに、他社状況は以下のとおりです。
三井住友海上三井ダイレクト
損保ジャパンセゾン自動車
あいおい損保SBI損保アドリック
日本興亜損保そんぽ24
 
国内の損保の数値目標としては、2007年度に比べて微増というつもりのようです。
ただ、1点気になることがあります。↓を見てのとおり、日新火災の分(50億円)が合計から抜け落ちています。