タブレット端末が大手損保で流行

昨年2011年あたりから、東京海上日動火災保険株式会社三井住友海上火災保険株式会社株式会社損害保険ジャパンタブレット端末(スレート型PC)を保険募集に利用する動きが活発化しています。
生保業界では従前よりノートPCを携えて、それで保険設計をしたり保険料を見せたりということを顧客の前でやるというのは普通にあったような感じがします。損保はどちらかというと紙ベースの募集が多く、生保よりもこの点では遅れている印象があります。損保会社もPC用の募集ツールの作成に注力していないようでしたし、普及にも本腰を入れていないようでした。
それが急に3社立て続けにタブレット端末での保険募集についてのニュースリリースを出しました。
 
「業界初 「タブレット型端末を活用した契約手続き」の導入」
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/j0201/pdf/110926.pdf
東京海上日動火災保険株式会社 ニュースリリース 2011.9.26)

今般導入する「らくらく手続き(※1)」は、自動車保険加入時の保険料試算・商品説明・申込み等をタブレット型端末やパソコンの画面上で行うペーパーレスの契約手続きです。
あわせて、保険料のクレジットカード払いの利便性向上のため、「電子クレカ手続き(※2)」を導入します。
また、これまで代理店事務所のパソコンからのアクセスに限定していた代理店システム「TNet」について、タブレット型端末やスマートフォン等からのアクセスも可能とし、いつでもどこでも代理店業務(お客様対応)を行えるよう「マルチデバイス対応」を実施します。

 
「〜Windows7搭載〜 タブレット端末を利用した契約手続きを開始」
http://www.ms-ins.com/news/fy2011/news_1011_1a.html
三井住友海上火災保険株式会社 ニュースリリース 2011.10.11)

三井住友海上火災保険株式会社(社長 柄澤 康喜)は、自動車保険と火災保険の契約手続きをタブレット端末上で完結できる新しいシステムを開発し、11月上旬より使用を開始します。
新しいシステムは、契約の完全ペーパーレス化を実現するとともにオフラインでも手続き可能な機能を有しており、通信環境を問わず契約手続きができます。なお、タブレット端末を使用した保険契約手続きの開始は、損害保険業界では初めてとなります。

 
「保険提案にタブレット型端末を活用
 〜 タブレット型端末の保険提案用アプリを開発 〜」
http://www.sompo-japan.co.jp/news/download/20120409_1.pdf
(株式会社損害保険ジャパン ニュースリリース 2012.4.9)

株式会社損害保険ジャパン(以下「損保ジャパン」、社長:櫻田謙悟)は、タブレット型端末専用の保険提案用アプリを開発し、本日から利用を開始しました。本アプリの活用により、お客さまを取り巻く日常のリスクや、それに対応する保険商品のわかりやすいご説明が可能となり、お客さま対応力の一層の向上を実現します。

 
東京海上日動と損保ジャパンは、どのOS上で動作するものか分かりませんでした。
三井住友海上は、セキュリティ面等を考慮して Windows7 を採用したようです。この選択には私も同意します。Windows7 の次のOS である Windows8 の方がいいのだろうとは思いますけど。Windows8タブレット端末での使用をターゲットにしているのですが、まだ出ていないのだからしょうがないです。
 
普通のPCならどの代理店にもあるでしょうから、アプリケーションをインストールして通信の設定をすれば、割と低いハードルで導入が可能です。
一方、タブレット端末はハードウェア自体がまだまだ普及していないので、ハードウェアとアプリケーションの一式を貸与あるいは購入させることになるのではないかと思っています。乗合代理店で本格的に普及させようと考えているなら早い者勝ちって面がありますから、出遅れた損保ジャパンは急ピッチで開発したのではないでしょうか。
 
タブレット端末自体はPCとしてのハードウェアのスペックはある程度安定していると思っています。おそらく2,3年で陳腐化して使えなくなるということはないでしょう。しかし、CPUやメモリといったコアの部分ではなく通信機能関係の部分は急速に進歩する可能性があります。
従って、今、この時点でのタブレット端末のハードウェア・アプリケーション一体での普及推進はややバクチ的な要素を含んでいると思います。
既に相当普及しているノートPCなら、本体であるハードウェアを取り替えて、中身のデータの移動やアプリケーションのインストールは問題なくできることは分かるのですが。ハードウェア・アプリケーション一体にしてしまったら、そこの自由度がなくなり、丸ごと廃棄することになってしまいます。
通信機能部分の急速な進歩によってすぐに陳腐化するかどうか、もしも陳腐化してしまったらどうするかは、多分東京海上日動三井住友海上は考えてはいると思いますが、その見方・見解に興味があります。