自動車保険 参考純率改定(2009年6月届出)

損害保険料率算出機構が6月22日に金融庁に参考純率改定の届け出を行いました。この届け出を受けて、金融庁は適合性審査結果の通知をすることになっており、7月7日に損保料率機構にその通知がなされました。
そして、同日、損保料率機構のサイトに自動車保険の参考純率改定に関する情報が公開されました。
自動車保険参考純率改定のご案内」
http://www.nliro.or.jp/service/ryoritsu/jannai200907.pdf
自動車保険参考純率説明資料」
http://www.nliro.or.jp/service/ryoritsu/jsiryo200907.pdf
(損害保険料率算出機構 参考純率に関するお知らせ 2009.7.7)
今回の改定は、対人賠償保険と搭乗者傷害保険の損害率悪化により全般的には上げです。なお、車両保険はほんのちょっと下げているんじゃないかと思います。
そして、単なる料率の上げ下げだけではありません。制度自体に手を入れています。
特に記名被保険者年齢別係数の導入は、対応する保険会社にとっても保険料を払う契約者にとっても影響の大きい話だと思います。ただし、自社の制度にそのままこの制度を導入するかどうかは各社マターなので、必ずしも参考純率とまったく同じ制度になるかどうかは分かりません。
ノンフリート等級の各等級における割増引率も変更となるようです。
運転者の範囲も今回変更となりますが、本人・配偶者限定の新設に関しては既にほとんどの損保が独自制度として実施済なので実質影響なさそうです。
他にもいくつかの制度変更があるという噂があります。
 
損保料率機構の会員会社(損保会社)は、自社の保険の純率に参考純率を使用している場合は、適合性審査結果の通知を受けてから1年以内に新しい参考純率に変更することが監督指針にて求められており、1年を超えて変更する場合はその理由を説明しなければならないとされています。
保険法施行日が4月1日ですから、おそらくどこの損保会社も2010年1〜4月始期契約から保険法対応で自動車保険を改定してくるものと思われます。そして、2010年7月までに参考純率を行うということになります。
これは、常識的なスケジュールとは到底言い難いです。保険法施行は決定事項ですから動かせないので、監督指針を曲げて参考純率改定の実施時期をもうちょっと先にするのが現実的だと思います。2010年度下期あたりでしょうか。
 
これまでに損保料率機構が参考純率改定で情報をこのような形で公開したことはなかったと思います。
ここんところ、保険会社においても一般向けに情報を開示し、分かりやすく説明しようという動きが見られますが、今回の公開もそれと同じ流れでしょうか。ちょっと情報を出し惜しみしている感じがするのですが、方向性としては説明責任を果たそうとしている点で好ましいと思っています。
 
余談ですが、損保算出機構の自動車保険の料率を『基準料率』と書くのは誤りです。地震保険自賠責保険は『基準料率』ですが、自動車保険や火災保険は『参考純率』です。
このことは、損保料率機構の公開ページにて説明されています。
「保険料率の提供種目」
http://www.nliro.or.jp/service/ryoritsu/syumoku.html
それを見出しに堂々と『基準料率』と書くなんて…。相変わらず、日本経済新聞の記者は保険の勉強をする気がないようです。