チューリッヒの在宅勤務

COVID-19(新型コロナウィルス感染症)により全国的かつ急速な蔓延による国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと判断されて緊急事態宣言が2020年4月7日に発出され、緊急事態措置の対象地域である東京都などの7都道府県では人との接触機会を8割削減することが目標として掲げられました。
それに応じて、企業でもできるところではテレワークを活用して、在宅勤務を行うところが目立ってきました。
実際、自分の身の回りでも4月中旬くらいから、できる企業は在宅勤務が増えてきたように思えます。個人的な感触では、外資系はこのあたりが早いように感じます。ある外資系企業の社員からは4月7日より早い時点で「在宅勤務になるからよろしく」という旨の連絡がありましたし。
 
人との接触機会を8割削減を企業において行うことは、ホワイトカラーの企業において8割の人を在宅勤務にすれば可能です。
しかし、それにはそれなりの態勢を整備しなければならず、ある程度の時間とコストが必要となるため、実際に行うのは口で言うほど簡単ではないことは普通に会社に勤めている人なら容易にわかります。
PCが使えて会社にネットワークにアクセスできるようにするだけでも、セキュリティのことを考えたらシンクライアント化されていないと厳しそうです。
保険会社でも8割以上を在宅勤務にするのは、難しいだろうと思っています。
 
ところが、チューリッヒ保険会社がこんなニュースリリースを出していて、驚きました。
「緊急事態宣言発令をうけてコールセンターも在宅勤務へ移行
 ~在宅勤務率は90%に達し平時と変わらぬお客さま対応を継続~」
https://www.zurich.co.jp/aboutus/news/release/2020/0410/

チューリッヒ保険会社(東京都中野区、日本における代表者および最高経営責任者:西浦 正親、 以下「チューリッヒ」)は、新型コロナウイルス感染拡大防止と社員の安全確保のため、業務を在宅勤務に移行できるよう態勢の整備を進めておりました。この度、政府の緊急事態宣言発令を受け、4月8日(水)より、当宣言の対象地域である東京本社オフィスと大阪オフィスの全部門の業務を在宅勤務に移行する措置を開始しました。これには、電話でお客さまへの対応を行うカスタマーケアセンター(コールセンター)および保険金支払い部門の業務も含まれます。迅速に在宅勤務に移行することにより、当宣言を踏まえた企業の責任を遂行するとともに業務への影響を最小に抑え、お客さまへ平時と変わらぬ対応・サービスをお届けすることに努めます。
 
措置の初日となった4月8日には、対象オフィスにおいてカスタマーケアセンター(コールセンター)および保険金支払い部門では、約90%の社員が在宅勤務による業務対応を行いました。

 
ニュースリリース内の記載によると、2013年から在宅勤務の試行・検証を続けてきたとのことですが、それが使い物にならないほど小規模で形だけのものではなく、実際に大人数が勤務しているコールセンターや損調部門で数百人規模でいざというときに実施できるように進めてきたとは、事業の継続性と社員を大事にすることを本気に考えているということが窺えて素晴らしいと思います。
また、ダイヤモンドオンラインの記事によると3月いっぱいを使ってオペレーター全員に在宅業務研修を実施したそうです。つまり、3月初旬の時点でオペレーター全員が在宅業務せざるをえない状況となることを想定して準備を進めたということであり、この点においても国や東京都などの判断を待つことなく、自社の判断でおそらくコンティンジェンシープランに則って対応をしたと思われますが、その準備が実効性のあるものになっている点でも非常に良いと思います。
 
一般的にコールセンターはCOVID-19の感染リスクの高い3密となる職場であり、チューリッヒ保険会社のような在宅勤務の対応ができていない所が多くあるようです。保険会社でも多くが…特にダイレクト系損保は大規模なコールセンターを持っており、どのような対策をとっているのか気になるところです。地方にコールセンターを置いていても、今や日本全国でCOVID-19の感染リスクは高まっていますし。