業界横並びと各社マターの境目(自動車保険の事故カウント)

自身の覚書と整理を兼ねて、損保業界共通の部分と各社マターの部分をさくっと書くことにします。
リテール分野の自動車保険といえば、ノンフリート契約です。ノンフリート等級制度では、一般的には事故を起こすと1件あたり3等級(共済は基準が異なることがあるので要注意)ダウンし、事故がないと1等級アップします。しかし、事故によっては、事故そのものが等級に影響を与えない場合や等級が下がらない場合があります。
所謂、ノーカウント事故やすえおき事故というやつです。
ここまでは、割と常識的な話です。
 
さて、どういう場合にノーカウント事故やすえおき事故として取り扱われるのか?となると、ちょっとややこしい話になってきます。
自動車保険は、損害保険料率算出機構で純率について参考純率を出している保険なので、参考純率のルールとして、ノーカウント事故とすえおき事故の定義があります。
それを簡略化して書くと以下のような感じです。
 

ノーカウント事故

下記いずれかの事故

  • 無保険車傷害保険のみに係る事故
  • 搭乗者傷害保険のみに係る事故
  • 無保険車傷害保険および搭乗者傷害保険のみに係る事故

それから、事故の中には、そもそもファミリーバイク特約に係る保険事故は含めないことになっているので、これもノーカウント事故と考えてもよさそうです。
 

等級すえおき事故

車両保険のみに係る事故(同時にノーカウント事故があった場合を含む)であり、事故発生の原因が下記のいずれかに該当する事故

  • 火災または爆発(飛来中もしくは落下中の物以外の他物との衝突もしくは接触または転覆もしくは墜落によって生じた火災または爆発を除く)
  • 盗難
  • 騒擾または労働争議に伴う暴力行為または破壊行為
  • 台風、竜巻、洪水または高潮
  • 落書きまたは窓ガラス破損(飛来中もしくは落下中の物以外の他物との衝突もしくは接触または転覆もしくは墜落によって生じた窓ガラス破損を除く)
  • 飛来中または落下中の他物との衝突

 
ここまでは、参考純率を利用している自動車保険なら各損保共通です。
独自で自社料率を計算している会社もわざわざノーカウント事故や等級すえおき事故の範囲を狭くすることはしないでしょうから、業界共通を考えても差し支えないと思います。
ただし、例によって、共済は別です。
 
ややこしいことに、これに対して各社マターでノーカウント事故や等級すえおき事故の範囲を広くしている商品がいくつもあります。どの会社もやるので、各社マターで広げた状態がオリジナルと勘違いする人が出る始末です。
範囲を広げている例として、分かり易いのは等級プロテクトです。これは特約なので、一目瞭然です。
他にも、いたずらによる車両保険事故を等級すえおき事故に含めるとか、臨時費用のみの請求をノーカウント事故とするとか、各種おまけ的特約の事故をノーカウント事故あるいは等級すえおき事故とみなすとか、様々です。
このあたりはすべて各社マターなので、どの会社の商品でも必ずしも同じ扱いになるとは限りません。
 
つまり、参考純率ベースの土台の部分は業界共通で、そこに上乗せの部分が各社マターになっているということになります。
実際には、何がノーカウント事故,等級すえおき事故になるのかは、各社マターと考えて該当する保険商品の重要事項説明書で確認するのが確実なようです。