eメールで保険募集する場合の注意の追加(其の弐)

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)改正の施行が 12/1 からという話を11/22の「eメールで保険募集する場合の注意の追加(其の壱)」で書きました。実はそこで書こうと思っていたのですが、改正された「特定電子メール法」について先般総務省よりガイドラインの公表がありました。
 
「特定電子メールの送信等に関するガイドラインの公表」
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/081114_4.html
総務省 新着情報 2008.11.14)
 
どこの損保でも募集文書を作成した際は、しかるべき部署でそのチェックを行っていると思います。eメールも募集文書に該当すればチェック対象になるはずです。保険の広告や勧誘を行っているeメールは、当然募集文書にあたりますし、特定電子メールの要件の1つに該当します。なお、既存契約者への事務連絡のみのeメールは特定電子メールの要件に当てはまらないので「特定電子メール法」の対象外です。
実務上は、このガイドラインに沿ってeメールの募集文書のチェックを行うことになろうかと思われます。ちょっと試しに、このガイドラインに沿った募集文書のチェックのポイントを考えてみました。
 
まず最初は、チェック対象のeメールが特定電子メールにあたるかどうかです。
これは、ガイドラインの P.1〜2 に要件が書かれています。
具体的には、

  • あいおい損保等がやっているメルマガ
  • 代理店が見込み客に保険募集を目的に送付するメール
  • 比較サイト(eメール返信タイプ)からの保険料見積もり結果のメール
  • 主にダイレクト系損保がやる案内メール(代理店が本業で配信するものにおまけ的に広告しているものを含む)

が該当すると思います。
念のため補足ですが、比較サイトには、その場でサイト上に保険料を表示するタイプと、サイト上では条件の受付だけで指定されたアドレスに返信するeメールで保険料を案内するタイプがあります。後者の場合は、その返信するeメールが特定電子メールにあたります。なお、このeメールは、比較サイトを運営している会社から配信されるのではなく、損保会社から配信されるようです。
 
次は、特定電子メールを送ることの可否です。ここで不可と判断されれば、そのeメールは、「特定電子メール法」上違法ということになります。
eメールを送っても良いのは、実務上は以下の場合と考えられます。

  • eメールの配信につき同意した場合
  • eメールのアドレスを送信者に通知した場合
  • 受信者と送信者が取引関係にある場合

eメールのアドレスを教えるということは、そこにeメールを送ってもよいという同意と同じと考えられるので、上2つは同じ扱いで検討してよさそうです。当然、教えた相手と送信者が同一の場合に限ります。代理店が教えてもらったアドレスを保険会社が勝手に使うのも、その逆もNGでしょう。
先の項で、代理店が本業で配信するものにおまけ的に広告しているeメールも特定電子メールにあたると書きましたが、この場合は3つ目に該当する場合があります。例えば、兼業代理店において、本業の顧客に配信するeメールがあり、そこにおまけとして保険の広告を入れるようなケースです。この場合は、eメールの主たる目的が保険の募集でない場合は、募集文書のチェックの観点としては「特定電子メール法」の規制対象外とみなすかどうか判断が難しいところです。法・施行規則どおりだと規制対象となりますが、現実的にはビジネスモデルの面やシステム対応面からして、法・施行規則のとおりにやるのは不可能ではないかと思います。
 
配信の同意とは、どの程度でもって同意があったかとみなされるのかも重要なポイントです。ガイドラインに書いてあることをざっくりと解釈すると、以下のようになるかと思います。
同意先(eメールのアドレスの通知先)と送信者が同一の場合は、eメールが送信されることが明示されていれば良い。
同意先(eメールのアドレスの通知先)と送信者が異なる場合は、送信者(具体的に明示)から広告・宣伝のeメールが送信されることがはっきりと分かるように明示されている必要がある。
また、後になってモメたときのために、同意があったことを証明できるようにしておくことも必要です。これは、ガイドラインの P.9〜10 に記載されています。この部分は場合によってシステム改修が必要となり、そういう意味で重い話になりそうです。
 
特定電子メールに含める要件として、送信者の情報と受信拒否の説明・受付があります。送信者の情報とは、送信者である会社の名称と所管部署,住所,電話番号,URL,アドレスということになるのではないかと思います。なお、特定電子メールそのものではなくても、サイトにその要件を記載したページを用意しておいて、そのページへのリンクによることも認められています。