火災保険とXXXXX省令準耐火

経済危機対策の一環として住宅税制・融資制度が拡充される旨の案内国土交通省のサイトにありました。それに関連した内容が、住宅金融支援機構のサイトの以下にあります。
「「経済危機対策」における制度改正について」
http://www.jhf.go.jp/topics/h21/topics_20090427.html
住宅金融支援機構 重要なお知らせ 2009.4.27)

「経済危機対策」に盛り込まれた以下の事項について、平成21年度補正予算成立後速やかに実施する予定です。

  • フラット35】(買取型)における融資率上限の9割から10割への引上げなど
  • 住宅融資保険における填補率10割型の新設など
  • まちづくり融資(短期事業資金)における融資対象となる事業要件の拡充など

詳しくは、下記のプレスリリースをご覧ください。
プレスリリース(PDF形式:3ページ、165KB)
参考1 フラット35(PDF形式:3ページ、350KB)
参考2 住宅融資保険(PDF形式:2ページ、386KB)
参考3 まちづくり融資(PDF形式:2ページ、310KB)

この中の参考3 まちづくり融資を見ていて、「おや?」と思った部分があります。それは融資物件とできる建築物の要件の1つに以下の記載があったからです。

②耐火建築物、構造が耐火構造準耐火構造(省令準耐火構造を含む。)又はまちづくり省令準耐火構造※の建築物であること
※ まちづくり融資に係る省令準耐火構造の要件の合理化(H21.4.30 実施予定)によるもので、フラット35などにおける省令準耐火構造とは基準が異なります。詳細は住宅金融支援機構 ホームページをご覧ください。

これは「省令準耐火」とは別に「まちづくり省令準耐火」というものがあることを示唆しています。
ちなみに「省令準耐火」だと、従来の住宅火災保険・住宅総合保険ではC構造であってもB構造の料率を適用するとか、各損保の独自商品では割引があるとかの措置があります。そして、昨年度には損害保険料率算出機構が火災保険・地震保険の標準料率の改定を行い、改定後においては省令準耐火の建物は耐火構造のくくりの中に入れられることになりました。
では、「まちづくり省令準耐火」は火災保険・地震保険においてどのような扱いになるのでしょうか?「省令準耐火」とまったく同じ扱いになるか否か気になるところです。
先に結論を書いてしまうと、どうやら「省令準耐火」そのものではないため、普通に非耐火の木造の建物という扱いになるのではないかと思われます。
 
「まちづくり省令準耐火」がどのようなものなのかは、以下にありました。
「「まちづくり省令準耐火構造」の住宅とは」
http://www.jhf.go.jp/customer/yushi/machidukuri/machidukurisyoureijuntaika.html
住宅金融支援機構 ご融資・ご返済などの情報 > ご融資情報 > まちづくり融資)
のっけから、ご注意として「「まちづくり省令準耐火構造」は、「省令準耐火構造」とは工事仕様が異なります。」と書かれています。
具体的には、現在のところは「まちづくり省令準耐火構造」の住宅の仕様を満たす建物が対象となるようです。この仕様は、省令準耐火の枠組壁工法住宅や木造軸組工法住宅の仕様と比較すると、やや甘いものになっています。
つまり、序列にすると以下のとおりになると思います。
耐火建築物>準耐火建築物>省令準耐火の建物>まちづくり省令準耐火の建物
 
融資条件の緩和や安全な住宅の促進ということには賛成です。
しかし、よりによって何故このような紛らわしいネーミングにしたのか理解に苦しみます。「まちづくり省令準耐火」が「省令準耐火」と同じ性能を有するなら、「省令準耐火」の基準そのものを改めれば良い話です。そうしなかったのは、「省令準耐火」よりも性能が劣るためでしょう。
ネーミングしたのは国土交通省の役人か住宅金融支援機構の人間ではないかと思いますが、その人たちは損保業界全体で起こった社会問題である「保険料取り過ぎ問題」を全く理解していないとしか思えません。
深読みするなら、実はネーミングしたのは住宅金融支援機構の人間で、いずれ株式会社損害保険ジャパンあたりに圧力をかけて「まちづくり省令準耐火」を「省令準耐火」と同じ扱いにさせるつもりであるとも考えることもできます。そこは癒着度合と力関係次第ではないかと思いますが。