イーデザイン損保の自動車保険(其の弐)

イーデザイン損害保険株式会社自動車保険について、「イーデザイン損保の自動車保険(其の壱)」では損害保険料率算出機構の標準約款ベースで、断片的にトータルアシストの内容を織り込んだような商品で、保険法対応はしていないというところまで書きました。
今度は、もう少し、商品そのものを見てみようと思います。
 
普通保険約款の条項と特約を列挙してみます。普通保険約款の●印は強制補償で、○印は任意で選べる補償です。なお、自損事故,無保険車,他車運転はどの損保でも例外なく自動補償していたかと思います。

  • ●賠償責任条項
  • ○人身傷害補償条項
  • ○搭乗者傷害条項
  • ●自損事故傷害条項
  • ●無保険車事故傷害条項
  • ○車両条項
  • ●他車運転危険補償条項
  • ●弁護士費用等補償条項
  • □家族運転者等の年齢条件に関する条項
  • □基本条項
  • □保険契約の申込みと保険料払込に関する条項
  • □クレジットカードによる保険料支払に関する条項
  • □追加保険料の払込猶予(30日間)に関する条項
  • □家族の免許取得自動補償に関する条項
  • □更新契約の取扱いに関する条項

【特約条項】

  • 運転者家族限定特約
  • 運転者夫婦限定特約
  • 運転者本人限定特約
  • ファミリーバイク特約
  • 対物超過修理費用補償特約
  • 人身傷害の被保険自動車搭乗中のみ補償特約
  • 育英費用特約
  • 女性のお顔手術費用特約
  • 入院時諸費用特約
  • エコノミー車両保険(車対車+A)特約
  • 車両盗難不担保特約
  • 車両新価保険特約
  • 車載身の回り品補償特約
  • 車両全損時諸費用補償特約
  • 事故時レンタカー費用特約(修理期間実損払)

 
聞きなれない名称のものだけを以下にざっと書きます。
基本条項とあるのは、従来の一般条項です。これは、日本損害保険協会「保険約款および募集文書等の用語に関するガイドライン」の言い換え推奨に従ったものと思われます。
保険契約申込みと保険料払込に関する条項は、随分と簡略なものになっていますが、俗に言う 通販特約に相当するものです。
女性のお顔手術費用特約は、オリジナルの特約のようです。トータルアシストにも同じものは見当たりません。アクサ損害保険株式会社SBI損害保険株式会社の形成手術費用担保特約とよく似た内容で、人身傷害補償保険を拡大するタイプの特約です。
 
おそらく特約数の削減を狙って、強制付帯する特約を全て普通保険約款に組み込んだものと思われます。そのため、他の損保では特約として存在するもののいくつかが普通保険約款の中にそのまま入り込んでいます。
弁護士費用等補償条項を強制補償としている点は、ダイレクト系損保としては珍しいです。これも強制付帯にする整理でそうしたのでしょう。ただ、価格競争力の面で保険料を徴収する特約を強制付帯にするのは明らかに不利ですし、意志確認や説明もなしに強制補償にするのは保険金請求漏れの元になります。
車両盗難不担保特約については、任意で付帯の選択ができないようです。多分、型式で制御するようになっているのではないかと思いますが、現時点でそのロジックが働いているかどうか不明です。車両料率クラス9のトヨタ ランドクルーザー(型式:UZJ100W)ですら、車両保険ありで普通に契約できそうな感じです。
それ以外は一般的なダイレクト系損保と同じでシンプルかつ最小構成可能な引受が可能となっています。一部のダイレクト系損保ではできない、搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険の両方をなしにすることもできます。
 
損保料率機構の参考準率にない純保険料については、東京海上日動火災保険株式会社から開示を受けていると思いますが、トータルアシストにないものがあるのが不思議です。ひょっとして、トータルアシストでも認可取得しているけど販売していないだけなのでしょうか?
その疑問の対象となるのは、先に書いた女性のお顔手術費用特約と運転者本人限定特約です。
なお、9月15日のブログ「自動車保険のゴールド免許と運転者限定」で、本人限定割引には2種類あることを書きました。イーデザイン損保の本人限定は、9月15日のブログでいう後者の方(免許の色とは無関係)です。
 
特約の種類に関しては、意図的にかなり絞り込んでいることは明白です。他社比較をするとその辺りが明確に見えてくると思いますが、今回はここまでにしておきます。