震災パートナーズ ネット引受中止

日本震災パートナーズ株式会社は、地震費用補償の2商品…Resta(地震被災者のための生活再建費用保険)やミニリスタ(地震被災者のための生活支援費用保険)を扱っており、その募集経路の1つにインターネットでの申込があります。
どうやら、そのインターネットでの申し込みを廃止するようです。
「お申込み方法の一部変更のお知らせ」
http://www.jishin.co.jp/information/20090812.html
( お知らせ 2009.8.12)

2009年8月21日から、地震費用保険「Resta(リスタ)」のウェブ申込みの方法が変更となります。
変更後は、お客様にご入力いただいた申込資料の請求ページの申込情報に基づいて、弊社がお客様宛てに申込書をお送りいたします。送付された申込書に必要事項をご記入・押印いただき、弊社までご返送いただくことによって、お申込みが完了となります。
また、地震費用保険「ミニリスタ」につきましては、2009年8月20日をもって、個人契約の申込受付を終了とさせていただきます。

これによると、Resta についてはインターネットでは資料請求までにして、その後は郵送ベースでの通信販売とし、ミニリスタについてはネットでの募集を完全に止めるということです。
なお、ミニリスタのインターネットの申込ページはもう既に利用できないようになっています。
これは、震災パートナーズにとってデメリットの多い選択であり、何故このようなことをしたのか不明です。
 
適当にいくつかの理由を考えてみました。

  • 『想定していたよりも売れ過ぎたので販売量を抑えたい。』

これはありえないでしょう。寧ろ、もっと契約数を伸ばす必要があると思います。
2008年度の数字を見る限りでは、現状の収入保険料ではいつまでたっても黒字にならないでしょうから。

  • 『静岡沖地震の影響で余震前の契約が極端に増えた。』

これは可能性としてはあるかもしれません。
ネットでの申込は、クレジットカードのオーソリゼーションが通った翌日が始期日と固定となっています。
余震の可能性が高いと判断した人が流入し、逆選択が生じる可能性があります。
ただ、ネットの申込で住所を入力することになっているので、逆選択になりそうな地域は一時的に申込できないようにすることも可能なはずです。
とすると、全面的に止める理由としては弱いです。

  • 『ネット経由の契約に多くの不適切な契約が混入していた。』

Resta は1981年改正の建築基準法の耐震基準に合致する専用住宅・併用住宅で持家のみが引受対象であり、ミニリスタは専用住宅・併用住宅が引受対象です。
しかし、インターネットの申込画面において、契約者がどの程度きちんと入力してくるか怪しいところがあります。
この引受対象の条件を満たさない契約が相当数あり、そのほとんどがインターネット経由だったから閉じたという可能性はけして低くないものと思えます。
ただ、その代替策が郵送による通信販売という点からすると、この代替策はあまり有効な解決策とは思えないので、ハズレかもしれません。

  • 『別チャネルからの圧力があった。』

インターネット以外の募集経路がありますが、そちらの募集人等からインターネットでの引き受けはしないで欲しいと申し出があった可能性があります。
既存の損保が直販をやろうとするとよくある話です。
しかし、震災パートナーズは充分な契約数があるわけではないので、仮にそんな申し出があっても飲める状況ではないことから、この可能性は薄いと思わざるを得ません。

  • 金融庁からの命令があった。』

金融庁は火災保険のインターネット販売をほとんど認めない方針であるという噂を聞いています。特に火災保険の場合は、金融庁は証拠書類の取り付けをうるさいほど要求します。当然ながら、証拠書類の取り付けはインターネットに向きません。
そのためか、実際に、自動車保険に比べると火災保険のインターネット販売は比較にならないほど少ないです。
その中で、Resta とミニリスタのインターネットでの申込も目を付けられた可能性があります。
金融庁は契約者の利便や保険会社の収益よりも、自身の監督責任を果たすこと(保身)やメンツを第一に考慮しますから、この可能性はかなりあるのではないかと思います。
郵送による通信販売を代替手段としたのも、郵送なら取り付け書類の返送を事務処理に組み込めるからでしょう。そして、ミニリスタはその取り付け書類が存在しない可能性があるので、ばっさりと通販を止めたのではないでしょうか?