AIG生保2社の売却方針撤回

AIG は売却する方針だったAIGスター生命保険株式会社AIGエジソン生命保険株式会社について売却方針を撤回し、引き続き保有することにした旨の発表を行いました。
AIGAIGスター生命AIGエジソン生命を継続して保有
http://www.aig.co.jp/news/n2009/n_19.htm
AIG プレスニュース 2009.10.30)

東京発―AIGは本日、傘下にある日本の生命保険会社のAIGスター生命保険株式会社とAIGエジソン生命保険株式会社の2社を、直近の経営分析に基づき、引き続き保有することを発表しました。
「私たちは、たえずAIGのビジネス価値を最大化することに取り組んでいます。このたび、AIGスター生命AIGエジソン生命を引き続きAIG傘下の企業として展開し、成長させていくことによって、AIG企業価値をさらに高めることができると確信するにいたりました。両社は、財務面においても非常に強固であり、また強力な営業網と、高いレベルの商品およびサービス、優秀な従業員と代理店を有しています」とAIGのCEOであるロバート・ベンモシェは語っています。

2008年10月4日に書いた「AIG…生保は売却」では、AIGアリコジャパン(アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー)AIGスター生命AIGエジソン生命の3社を売却することとしていました。
それが、3月4日に書いた「AIG の再建方針」で触れているとおり、アリコについては売却を取りやめています。
そして、今回の発表で残る2社についても売却しないことで決定したということになります。つまり、昨年10月の3生保売却は、これですべてなくなったということです。
 
売却撤回についてAIGスター生命およびAIGエジソン生命のサイトにも記載されています。この両社のサイトに書かれているものの方がやや詳しいものになっています。
「米国AIG本社による弊社株式譲渡計画の変更について」
http://www.aigedison.co.jp/company/news/2009/n_176.pdf
AIGエジソン生命保険株式会社 新着情報 2009.10.30)
そして、AIGスター生命の方に関しては、AIGが危機となる前に予定していたAIGスター生命AIGエジソン生命の合併について、直ちに計画を再開することはない旨を述べています。
「弊社の株式譲渡交渉と株主について」
http://www.aigstar-life.co.jp/info/info20091030.html
AIGスター生命保険株式会社 新着情報 2009.10.30)

また、弊社とAIGエジソン生命との合併手続については、株式譲渡先の意向を反映させるために一旦凍結としておりましたが、合併および合併手続再開の計画は現時点ではないことをあわせてご報告いたします。

もともと昨年10月時点では合併した状態での売却先を探していたくらいだったのですが、その合併計画を再開しないということは売却先がなかったこと以外に合併に関して問題があったのでしょうか?
合併計画を中止した要因は、売却先との調整のみだったのであれば、現時点で再開の否定をする理由が思い当たりません。
 
3月4日に書いた「AIG の再建方針」の中で、AIGのサイト(AIGグループ会社のご案内)に記載の日本におけるAIGグループ企業を列挙しました。
現在は以下のとおりとなっており、トランスアトランティック再保険会社,AIGコミュニケーションワン株式会社の2社がなくなっています。

金融サービス・資産運用事業

AIGグローバル・リアルエステート・アジアパシフィック・インク(AIGGRE)
AIGジャパン・キャピタル・インベストメント株式会社
AIGインベストメンツ株式会社
バンクAIG証券会社

保険に関するサービス事業

AIGコーポレート・ソリューションズ株式会社
日本保険損害査定株式会社(JACO)

グループ経営管理・サービス等

AIGイースト・アジア・ホールディングス・マネジメント株式会社
AIG株式会社
 
そう言えば、損害保険事業については、新たに設立したチャーティス・ノンライフ・ホールディングに移すとのことでしたが、上記のリストにまだ残っています。これは一体どういうことなのでしょう?
 
今回の売却撤回が日本の生保だけにおけるものではなく、AIGの生保全体のものだとしたら、生命保険事業についても、AIGから切り離すという選択肢もありうるように思えます。寧ろ、そうした方が別分野の影響による資産の劣化を防ぐことができるので好ましいと思います。