大和生命の破綻と…

大和生命が破綻しました。日経平均の下げがこのまま続けば機関投資家である生保がやばいだろうということは誰しも分かっていたことですが、ここでいきなりくるとは予想外でした。
この件について、金融庁のサイトには以下のように書かれています。
「金融担当大臣談話 ―大和生命保険株式会社について―」
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20081010.html
金融庁 大臣談話・講演等 > 平成20年分 2008.10.10)

2.大和生命においては、平成20年9月末時点で債務超過となる見込みとなったことから、契約者保護の観点から更なる損失拡大を防ぐため、できる限り早期に更生手続開始の申立てを行ったものと承知している。
  (略)
4.今般、大和生命がこのような事態に至ったのは、高コストの保険事業を高利回りの有価証券運用で補填するという同社の特異な収益構造が主たる要因であり、他の保険会社とは状況が異なるものと認識している。

3月末の大和生命のソルベンシーマージンは 555.4% です。それが、9月末に 200% を下回りました。
つまり、差し引き 355.4 % 分が半年間でなくなったということです。
勿論、その原因が株式の下落であることは明らかです。ちなみに、大和生命は3月末の時点で既に、国内株式+外国株式の含み益がマイナス(含み損)でした。
3月末時点で、ソルベンシーマージンが 700% 未満または 国内株式+外国証券にある程度の含み損のある生保は、以下のとおりです。(順不同)

 
大和生命がリスクのある高利回りの運用をした理由が、保有契約の予定利率が高かったことにあったと仮定するなら、他の生保の保有契約の平均予定利率をおさえておいた方が良さそうです。そうでなくとも特に長モノの場合は、平均予定利率が高いということは、市場の利回りが急激に下がった場合に、予定利率で計算した責任準備金に比べて、標準責任準備金があっと言う間に大きくなって積み不足が起こります。
ちなみに、大和生命の3月末での保有契約の平均予定利率 3.3% です。3月末で平均予定利率が 3% 超の生保は、以下のとおりです。

 
なお、以上のことを調べるために「週刊東洋経済 臨時増刊 生保・損保特集 2008年版」を参照しています。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/special/20081008seison/index.html
 
大和生命が他の生保に比べて多少特異だったのは事実かもしれません。しかし、生保はどの会社も機関投資家であることに違いはありません。このまま株安が進行すれば、特異ではない生保も危機的状況になる可能性があります。運用方針に非のない生保まで破綻するような状況になってはおかしいです。
一刻も早く正常化して欲しいもんです。