大和生命の FAQ にて

破綻した大和生命のサイトにて、契約者向けの FAQ が掲載されています。
「よくあるご質問(ご契約者様用)」
http://www.yamato-life.co.jp/pdf/webQA0810171500.pdf
大和生命保険株式会社 2008.10.17更新)
 
中身を読んでみたのですが、どうも腑に落ちない点があります。
それは、No.3 の回答のなお書き以降の部分と No.6 の回答の基礎率の変更に関する矛盾です。

No.6
[質問]
更生計画に基づく保険契約の変更とは、具体的にはどのような変更がなされるのでしょうか。
[回答]
①責任準備金の削減、及び、②保険料等の算定基礎となる基礎率(予定利率、予定死亡率、予定事業費率等)の変更により、保険金額が減額される可能性があります。
また、①、②の契約条件変更に加えて、保険契約を有効に継続させていくために、一定の保険契約者数を維持する必要があることから、一定期間、早期解約控除制度が設けられる可能性があります。
なお、①の責任準備金の削減は、原則として、最大10%、高予定利率契約(過去5年の予定利率が3%を超えている契約)については、10%以上の削減が行われる可能性があります。

この No.6 は高予定利率のバーを 3% に具体的に定めている点を除けば、破綻時の処理の一般論としてあちこちで見かける内容で、特段おかしなことはありません。
今、このブログで注目したいのは、『②保険料等の算定基礎となる基礎率(予定利率、予定死亡率、予定事業費率等)の変更』の部分です。おそらく、実際には、予定利率 3% 超の契約について、予定利率の切り下げを行って 3% にするのではないかと思われます。(そういうことを示唆しています。ただし、現時点では不明です。)

No.3
[質問]
今後も保険料は支払わなければならないのですか。保険金は減額される可能性があるのに、保険料は満額支払う必要があるのですか。
[回答]
保険契約は継続されますので、保険料もこれまでどおりお支払いください。保険料をお支払
いいただけない場合には、保険契約が失効してしまうことがありますので、ご注意ください。
なお、今後、支払われた保険料から積み立てられる責任準備金が減額されることはありませ
んので、ご安心ください。

このなお書き以降の部分をそのまま解釈すると、10/10以降の積立保険料分については契約時の予定利率で計算した責任準備金を保証するということを意味します。
10/9時点の積立分に関しては責任準備金の削減の可能性(高い確率で現実になると思われます)を No.6 で書いているのですが、それは将来の責任準備金の話ではなく、破綻時における責任準備金を指しているはずです。将来において積み不足が生じる懸念に関しては、予定利率の切り下げによって対応することになります。従って、責任準備金の削減の適用は10/10以降の積立保険料分とは無関係という点に関しては、この回答のとおりです。
しかし、現時点では予定利率の切り下げは決定事項ではない中で、責任準備金が減額されずに保証されるという書き方は明らかに誤りです。No.6 の回答では予定利率を切り下げる可能性があると言っています。予定利率が切り下げられることになれば、10/10以降の将来における責任準備金は想定していた責任準備金よりも結果として減額されることになるのは自明です。
つまり、この No.3 の回答は、契約者に誤解を招かせるもので非常に拙い内容のものではないかと思います。そう考えると末尾の『ご安心ください』が尚更空々しいものに見えてしまいます。