損保ジャパンのセゾン自動車火災への影響力強化

セゾン自動車火災保険株式会社が約100億円の増資を行い、それを株式会社損害保険ジャパンが引き受ける旨のニュースリリースが出されています。
もともと損保ジャパンは株式を63.8%保有する大株主(2009.7.3の株式取得によります)でしたが、これによって85.59%に更に高まりました。
「損保ジャパンによるセゾン自動車火災の株式取得に関するお知らせ」
http://www.sompo-japan.co.jp/news/download/20100226_1.pdf
(株式会社損害保険ジャパン ニュースリリース 2010.2.26)
「第三者割当増資の実施と(株)損害保険ジャパンによる当社株式の取得について」
http://www.ins-saison.co.jp/images/scripts/timg20100226.pdf
セゾン自動車火災保険株式会社 News&Topics 2010.2.26)

今般、当該事業の更なる拡大に向けて、セゾン自動車火災が従来より展開している損害保険の通信販売事業(以下「通販事業」)を強化することとなり、同事業の拡大に必要となる事業基盤強化を目的として、セゾン自動車火災が第三者割当増資を実施し、損保ジャパンがこれを引き受けることを決定しました。

信販売事業を強化するということは、おそらくインターネットでの販売に本腰を入れるということを意味するのではないかと思います。
既に現状でもセゾン自動車火災はインターネットでの自動車保険の販売のみならず、「セゾン自動車の携帯サイト開始」(2009.4.30)に書いたとおりモバイルでの販売も行っています。しかしながら、今ひとつ知名度が低く、あまり目立ちませんし、また他のダイレクト系損保と比較しても広告を出していないようです。
そこに100億円もの−このすべてを通販事業に注ぎ込む訳ではないでしょうが−金額を投入するということは、相当のことをするということでしょう。ただ、その対象が自動車保険かどうかは現時点では分かりません。
ただ、損保ジャパンが、東京海上ホールディングス株式会社イーデザイン損害保険株式会社にセゾン自動車で対抗することを考えているなら、自動車保険で勝負にくるものと思われます。
 
今回の件はもう1つ、NKSJホールディングス株式会社における日本興亜損害保険株式会社との通販分野における力関係を優勢にするためという見方もできます。
「損保ジャパンがセゾン自動車火災の子会社化推進」(2009.7.3)でも触れましたが、日本興亜損保にはそんぽ24損害保険株式会社があり、ダイレクトチャネルでは今のところ日本興亜損保が優勢です。
そして、グループ内のダイレクトチャネルにおける発言権を増すには、セゾン自動車火災でのネット販売のてこ入れをして成績を伸ばすのが最も妥当な方法です。