アドリック損保の廃業

2011年5月31日、株式会社アドバンスクリエイトあいおいニッセイ同和損害保険株式会社が合弁で設立したアドリック損害保険株式会社が事実上廃業しました。
正確にはあいおいニッセイ同和に吸収合併されたと言うべきでしょうが、個人的にはアドバンスクリエイトが見限ってあいおいニッセイ同和に売り払ったと思っているので、あえて廃業と書いています。
 
どうも出資割合を見ると一時的にアドバンスクリエイトが主導権をとろうとしたように思えますが、廃業時にはほぼイーブンの状態でした。
でも、アドリック損保に思い入れがあったのは、あいおいニッセイ同和ではなくアドバンスクリエイトの方だったと思っています。多分、あいおいニッセイ同和にとっては、利益を得るためのチャネルの1つに過ぎないという位置付けでしょう。
 
今でもそうですが、アドバンスクリエイトの本業は保険代理業です。そこに損保会社を作ったのは、当然にシナジー効果を発揮して効率的に収益を上げようという目論見があったからに違いありません。
アドリック損保は、リテール向けの自動車保険のみを販売しており、もちろん保険市場でも募集をしていました。
さて、そう考えたときに、今更ですが「自動車保険」という選択肢はどうだったのでしょう?
個人向けに単種目を販売する損害保険会社を作るとすると、保険種目の選択肢としてざっくりと「自動車保険」「火災保険」「傷害・医療保険」「積立保険」が考えられます。バブル期以前ならいざ知らず、今では「積立保険」という選択は論外なので、実質の選択肢は3つです。
代理店である保険市場に投入するからには保険市場と相性が良く優位性を発揮できる種目が適当であると考えると、それが「自動車保険」とはちょっと思いにくいです。なんとなくですが、「傷害・医療保険」の方がマシな気がします。
しかも、「傷害・医療保険」の方が利幅を大きくとれます。尤も、これは商品設計に依存する話ですが。
 
ただ1つ確実に言えるのは、どの種目を選択したとしても保険会社というのは簡単に黒字化しません。
また、安定して黒字化までに相当の資本注入が必要となります。
アドリック損保の開業は2008年4月のことですから、黒字化への道のりは遠く、アドバンスクリエイトの重荷になっていたのでしょう。楽観的な事業計画を作っていたのなら、現実との乖離にうんざりしていたのかもしれません。
それで開業から5年もたたないうちに、損切りのようなつもりで売り払ってしまったような気がしてなりません。
 
余談ですが、アドバンスクリエイトが設立した再保険会社… Advance Create Reinsurance Incorporated は存続しているようです。ついでなので、以前に書いたブログ「代理店が再保険会社設立!? 」(2008.10.1)へのリンクも張っておきます。