日本郵政グループに対する業務停止命令の不可解さ

金融庁株式会社かんぽ生命保険日本郵便株式会社に対して、2019年12月27日に業務停止命令を出しました。
日本郵政グループに対する行政処分について」
https://www.fsa.go.jp/news/r1/yuusei/20191227.html
業務停止命令の内容は↓のとおりです。かんぽ生命に対するものと日本郵便に対するもので微妙に異なる箇所がありますが、本題ではないので気にしないことにします。

令和2年1月1日(水)から令和2年3月31日(火)までの間、かんぽ生命の保険商品に係る保険募集を停止すること。
(顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集を除く。その他、当局が契約者保護の観点から必要とされる業務として個別に認めたものを除く。)

 
これを見て、どうしても納得できない不可解な部分があります。
それは『顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集を除く。』としている箇所です。
不可解だと思う理由は2つです。
 
1つ目は、これまでの保険会社や保険代理店に対する業務停止命令で、自動継続による契約の更新以外で業務停止の対象外としたことはなかったからです。
そういう意味では、『その他、当局が契約者保護の観点から必要とされる業務として個別に認めたものを除く。』の部分も同様ですが、こちらはまだ自動継続による契約の更新を含めて、当局が包括的に認めたものだろうという気もするので、まだ納得できます。
日本郵政グループだから金融庁が手心を加えたのか、日本郵政グループが政治的な圧力をかけてそうさせたのか…そんな疑念がわいてきます。
まぁ、次に普通の保険会社や保険代理店が業務停止命令を受けた時に、同様になっていればその疑念は晴れるのですが。
 
2つ目は、“顧客からの自発的な意思表示”かどうかは誰が判断・確認し、どうやって管理するのかということです。
誰がって、これを見る限りでは、かんぽ生命や日本郵便であるとしか思えないです。
はっきり言って、今回の行政処分の根本的な原因は日本郵政グループの役職員のモラルがまったくなっていないことにあります。
そんな人たちに、この判断・確認をすることや管理することを任せて大丈夫だとはとうてい思えません。
実際には、かんぽ生命や日本郵便から募集を行ったものであっても申込人に「これはあなたからの自発的な意思で申込みがあったことにしてほしい」と言って申込みをさせたり、もっと酷く考えれば普通にかんぽ生命や日本郵便の職員が自身の都合で募集をしておいて無断で顧客からの自発的な意思で申込みがあったことにしてしまったりということをする人が出てくる可能性があります。
なんたって、モラルがなく自身のことを最優先に考えることが蔓延している組織だから、こんな行政処分を受けるような不祥事が起こったのですから。
 
普通に考えれば、『顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集を除く。』はあってはならない一文です。
何故、こんな一文が入っているのでしょう?