富士火災の医療従事者向け傷害保険

富士火災が傷害総合保険に「針刺し事故等による感染症危険担保特約」を付帯して「医療従事者災害補償プラン」として、12月1日始期契約より扱っているというニュースリリースがありました。
 
「『医療従事者災害補償プラン』を発売」
http://www.fujikasai.co.jp/news/attach/081204.pdf
富士火災海上保険株式会社 ニュースリリース 2008.12.4)
 
医療従事者がうっかり汚染された器具で自身を傷つけてしまい、感染症にかかってしまうという話は以前からありました。今まで、そのリスクを担保する保険が存在しなかったことの方が寧ろ不思議な気がします。
普通に傷害保険で担保できないのか?と思いますが、傷害保険の保険事故の4要件である(1)事故の急激性,(2)事故の偶然性,(3)事故の外来性,(4)身体の傷害性 のうち、(1)事故の急激性が満たされないのでNGと考えられます。ここで問題にしている事故とは、HBV(B型肝炎),HCV(C型肝炎),HIV(AIDS)の発症です。(1)事故の急激性 とは原因となった事故から結果としての傷害までの過程が直接的で時間的間隔がないことを意味しているので、潜伏期間があれば満たされなくなってしまいます。
 
「針刺し事故等による感染症危険担保特約」は以下の内容のようです。

  1. 針刺し事故等の血液曝露事故により、HCVHIVに感染した場合、発病を待たずに、一時金をお支払いします。
  2. 針刺し事故等の血液曝露事故により、HBVに感染し、B型肝炎を発病して治療を受けられた場合に、一時金をお支払いします。

HCVHIV に関しては、感染したことでもって傷害があったとみなしているかのようです。そうするなら、4要件を満たすことになるし、何より損害調査が楽になります。発病してから、その原因がどの時の針刺し事故等だったのか/それは保険期間内のことなのか/そもそも針刺し事故等が原因なのかなんてことを調査するのは、まったく現実的ではありませんから。