損保の代理店…週刊ダイヤモンド(3/14号)保険特集より

3/10のブログ「週刊ダイヤモンド(3/14号)保険特集」では、週刊ダイヤモンドの3/14号の保険特集についてざっくりと感じたことを書きました。
その中の Part 1 の「乗り合い代理店バブル発生 提案力はピンキリで注意が必要」について、記事の内容にとんでもない大間違いがあるので、その点について知っている範囲で書こうと思います。
 
先に、記事の内容のとんでもない大間違いについてです。
この記事では、生保と損保の区別なく『保険』という言葉を用いていますが、ここに書かれていることは『生保』だけです。『損保』に関しては、記事の内容は事実とはまったく異なります。保険業界の人なら記事を読めば一瞬にして気づくことですが、この雑誌が保険業界向けに特定されていない以上、『生保』であることをはっきりさせなければこの記事はデタラメと誹りを受けても仕方のない内容です。
なお、この大間違いは、その次の「代理店の手数料を初公開! 儲けの仕組みを知れば騙されない」についてもそっくりそのまま当てはまります。
 

乗り合い代理店バブル発生 提案力はピンキリで注意が必要

タイトルで↑のように書かれていますが、損保に関しては大間違いです。現在の損保業界は代理店の数を減らす方向に向かっています。

全国に保険の代理店は四万店舗程度あるが、そのうち複数の保険会社の商品を取り揃えて、来店型店舗を構えている乗り合い代理店は、一〇〇〇〜二〇〇〇店舗と言われる。最近はすごいスピードで店舗数を増加させており、さながら「乗り合い代理店バブル」の様相を呈している。

言うまでもなく、これも損保に関してはまったく当てはまりません。
損保も二昔前くらいは代理店の数を増やすことに熱心でしたが、今は規模の小さい代理店を一生懸命潰して、数を減らしています。また、ほとんどの損保会社において代理店手数料体系も自社商品の保険料によって手数料率が変わるので、同じ数の保険契約をとるなら複数社の商品を売るよりも1社に絞って売る方が有利なため、乗り合い代理店が増えるインセンティブも働かない状況です。
例外的に、銀行窓販をやっている金融機関代理店とインターネットで募集を行う媒介代理店は、一般の締結代理店と代理店手数料体系が異なる可能性が高いです。しかし、それでも「乗り合い代理店バブル」という程の状況は起こっていないと思います。
なお、一部の人はダイレクト系損保は直販だけと誤解されているようですが、媒介代理店経由の契約も少なくありません。比較見積もりサイトは、媒介代理店としてやっているケースと、保険会社の商品を紹介としてやっているケースがあります。これはそのサイトをよく見れば区別がつきます。媒介代理店の場合は、締結代理店と同様に保険料の一定率が代理店手数料として支払われます。
 

たとえば二〇社以上の保険を取り扱っている代理店は多いが、まじめに二〇社すべての商品の保険料を調べて比較するという代理店はない。

これものっけから、損保に関してはまったく違います。
そもそも損保20社も乗り合いしている代理店なんて存在しないのではないでしょうか?損保で最もメジャーである自動車保険に限れば、自動車保険を元請けで販売している保険会社はダイレクト系損保を含めても約30社です。代理店系損保の乗り合いは10社を超えることはまずないものと思います。
ただし、自動車保険に限定すれば条件次第では20社以上の保険料を調べることが可能なサイトは1つだけ存在します。それは保険の窓口インズウェブです。
 
どの業界でも同じだと思いますが、普通の人なら気づくはずの初歩的・基本的なことを見逃して、自分の常識が当たり前のことと勘違いして勝手に落とし穴にはまる人を見かけます。
個人的な趣味で書いているようなものはともかく、不特定多数に販売する一般誌ではこんなミスはあってはならないと思います。