素朴な疑問…保険の有無責判断

最近の「損害保険代理店委託契約書」を見ていないのですが、一昔前は委託契約書の中に以下の条文があったと思います。

代理店は、保険事故が発生した場合において、会社のてん補責任の有無およびその額について、会社から求められたときを除き、何人に対しても意見を述べてはならない。

これの意味するところは、「保険事故が起こった場合に、代理店は保険金が出るか否かや、出る場合はいくらなのかということを勝手に契約者などに言ってはならない」ということです。そのまんまですが…。
実際に有無責判断や保険金の支払は保険会社が行う業務であって、そこの決裁を無視して代理店が契約者などに勝手に約束をしてしまっては不都合が生じます。その観点からすると、当然の規定と言えます。
 
一方で、保険事故が起こっていない場合…例えば保険募集の時点…において、契約者から「xxxの場合は補償されますか?その場合、いくら出ますか?」と訊かれた場合に、代理店が約款などに基づいて回答するのは募集行為の一環とされているはずです。ここを保険会社に丸投げしていては、その代理店の存在意義はないでしょう。(込み入った質問の場合は保険会社に照会するでしょうが、窓口として契約者に返答するのは代理店のはずです。)
 
つまり、契約者が代理店に対してまったく同じ質問をしたとしても、保険事故発生時かそうでないかによって、答えて良いかどうかが異なるということです。無論、その答えは同じでなければならないにもかかわらずです。
それぞれ別個に考えれば理屈は尤もですが、全体として考えると奇妙な矛盾が生じます。私の中でも昔からしっくりこないと思っていることです。