平成21事務年度 保険会社等向け監督方針

金融庁サイトにて、今年度の保険会社等向け監督方針が公開されているので、軽く見てみました。
「平成21事務年度 保険会社等向け監督方針について」
http://www.fsa.go.jp/news/21/hoken/20090818-2.html
金融庁 報道発表資料 2009.8.18)

  1. 金融危機の経験と今後の金融監督の基本的考え方
  2. リスク管理の高度化の促進
  3. 顧客保護と利用者利便の向上
  4. 保険会社等の属性に応じた監督対応

今年の保険会社等向け監督方針の大項目は↑のとおりです。
今年のだけを見てもピンとこない部分もあるので、昨年のものと比較しつつ見ていくことにします。
昨年のポイントの大項目は↓のとおりです。

  1. 契約者等の安心・利便の向上に向けた取組みの促進
  2. リスク管理の高度化の促進
  3. 保険会社等の属性に応じた監督対応
  4. 金融規制の質的向上(ベター・レギュレーション)の浸透と具体化

順番や細かい部分が変わっていますが、大項目そのものは昨年のものと一致します。
ただ、順番は金融庁の関心のある順と考えられることから、順番の変更を見ることは有意なことと思います。
 
「1.金融危機の経験と今後の金融監督の基本的考え方」は、昨年の「4.金融規制の質的向上(ベター・レギュレーション)の浸透と具体化」と類似しており、これを全体の概要として格上げしています。
ここの内容は、特に8月9日に「平成21検査事務年度検査基本方針」で見た「III.各種検査の基本的枠組み」そのものや「金融検査におけるベター・レギュレーションに向けた取組み(アクションプランⅡ)」の改定内容とリンクしているようです。次々と保険会社の経営が危機的な状況に陥るようなことになれば、補償の削減に繋がり保険制度そのものの意義が疑われますから、そのようなことがないようにと意識されているのかもしれません。
 
リスク管理の高度化の促進」は、両方に同じ名称である項目です。内容も大枠では同じですが、今年の方がより細かく一歩進んだ内容になっています。
 
「3.顧客保護と利用者利便の向上」は、昨年の「1.契約者等の安心・利便の向上に向けた取組みの促進」です。
新たな内容として、保険法対応と情報セキュリティに関する取組の検証があります。それを除けば、今年の方が昨年よりもあっさりとした書きぶりになっています。とは言え、去年から今年にかけて金融審議会で論じられて一定の報告のあった事項についてもきちんと盛り込まれています。個人的には、「募集文書」の活用状況,「広告規制」の運用状況,「募集人の資質向上」の取組状況の3つの実務検証が気になります。
 
「保険会社等の属性に応じた監督対応」に関しては、表現は異なるものの、内容は昨年と今年でほぼ同じようです。