共栄火災の自動車保険改定(保険法対応)(其の弐)

8月9日に「共栄火災の自動車保険改定(保険法対応)」で書いた共栄火災海上保険株式会社自動車保険改定につき、8月19日に同社のサイトにてニュースリリースの原稿が掲示されていました。
自動車保険の全面改定を実施、個人向け自動車保険「KAPくるまる」と事業者向け自動車保険「KAPベーシス」を発売」
http://www.kyoeikasai.co.jp/about/news/2009/nr2009081701.html
共栄火災海上保険株式会社 ニュースリリース 2009.8.17)

共栄火災海上保険株式会社(本社:東京都港区新橋1-18-6、社長:荒川 勝利)は、2009年10月1日以降を保険始期とする自動車保険を全面改定し、新たに個人向け自動車保険「KAPくるまる(総合自動車保険)」と、事業者向け自動車保険「KAPベーシス(一般自動車保険)」として、この8月より取り扱いを開始しました。
本商品は2010年4月に施行される「保険法」に対応した商品で、「商品のわかりやすさ」と「お客様満足度の向上」をテーマとして、主に、商品ラインアップの見直し、リスク区分・割引制度にかかる保険料体系の簡素化、保険料の見直しおよび特約の統廃合等を実施するものです。さらに、紙資源を節約し環境保護に貢献するため、約款冊子の送付を希望されないお客様には、当社ホームページで保険約款を閲覧またはダウンロードしていただく「ネットで約款!」を新たに導入します。

やはり、この改定において保険法対応を行ったという点に関しては、前回のブログの内容のとおりでした。
それ以外についても、いくつかの点で改定が行われていました。
 

2.お車の使用目的によるリスク区分や一部割引制度の廃止
従来の商品では、お車の使用目的を「日常・レジャー」、「通勤・通学」、「業務」の3つに区分し、使用実態に沿った保険料設定を行っていましたが、わかりやすさの観点から使用目的に関するリスク区分を廃止しました。さらに、装置の多様化による割引制度のわかりづらさを解消するため、「安全装置割引(ABS・エアバッグ)」、「盗難防止装置割引(イモビライザーGPS)」、「エコカー割引」を廃止しました。

使用目的は、リスク細分型自動車保険のほとんどで使われてきている項目ですが、それを撤廃するとのことです。走行距離による区分も保険料算出の要素としていないので、使用頻度に関して、まったく保険料の要素としないと言えます。
と言うことは今回の改定で、使用目的が「業務」だった人は保険料が安くなりがちで、「日常・レジャー」だった人は高くなりがちのはずです。
自動車の装置に関する割引を廃止するのは、東京海上日動日本興亜損保と同じ流れと整理できます。これは業界のトレンドに乗ったものでしょう。
 

II . 補償範囲の見直し
人身傷害保険における犯罪被害事故に対する補償を廃止しました。また、搭乗者傷害保険における医療保険金の「日数払」方式を廃止し、保険金の支払基準が明確でスピーディーなお支払いが可能な「部位・症状別払」方式のみとしました。さらに、「座席ベルト装着者特別保険金」、「重度後遺障害特別保険金」、「重度後遺障害介護費用保険金」を廃止しました。

人身傷害保険に余分な補償を強制付帯にして契約者に保険料を多く払わせる手口は、ほとんどの代理店系損保がやっていたことですが、漸くそこから足を洗うようです。ちなみに、今でも、まだ足を洗ってないのは、損保ジャパンくらいかと思います。
搭乗者傷害保険は、少々思い切った簡素化をしたと言えます。7月15日の「業界横並びと各社マターの境目(搭乗者傷害保険の保険金種類)」で整理したとおり、ここまで減らすとあいおい損保と同じになります。
 

III . 保険料の見直し
商品の簡素化ならびに補償のスリム化、および損害率の状況を勘案し、保険料水準の見直しを実施しました。また、年齢条件対象車種における年齢条件ごとの損害率を考慮し、区分ごとの較差を見直しました。

料率を改定していることは分かるのですが、全般的に上げなのか下げなのかを誤魔化した書きぶりです。
この文章から推測すると、上記II.で補償を削って料率が低くなるはずの分と、12.5% の幅で使える調整率(恐らく上げに使用)の分のバランスをとって、全般的にはほぼ同水準となるように調整したのではないかと思われます。
ただ、タイミング的に先般、損害保険料率算出機構にて届け出た参考純率の改定は、今回の改定に盛り込まれていないはずです。来年の改定で、参考純率改定対応を行い、そこで保険料を上げることになるでしょう。