あいおい損保の少短2社提携

あいおい損害保険株式会社が立て続けに少額短期保険業者との提携を行っています。10月にはe-Net少額短期保険株式会社と、12月には株式会社全管協共済会との業務提携についてニュースリリースを出しました。
この両社(e-Net少短,全管協共済会)で販売している商品は賃貸住宅向けの動産総合保険です。
 
あいおい損保とe-Net少額短期保険との業務資本提携および株式取得(関連会社化)に関するお知らせ」
http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2009/20091009i.pdf
あいおい損害保険株式会社 ニュースリリース 2009.10.9)
あいおい損害保険株式会社がe-Netの株式を取得(第三者割当増資)」
http://www.e-netcom.co.jp/press/3.html
(e-Net少額短期保険株式会社 ニュースリリース 2009.10.9)

このような環境下において、これまで不動産賃貸マーケットにおける業界トップ水準の営業基盤を築いてきたあいおい損保と、当該マーケットで優れた商品・システムと募集態勢を確立し同マーケットの開拓を図るe-Net少短は、協議を重ねた結果、今後さらなる成長戦略を築くためには、資本・業務提携による新たなビジネスモデルの構築が不可欠であるとの認識で一致し、本日、業務資本提携を行い、あいおい損保がe-Net少短の株式を取得し関連会社化いたしました。

「業務資本提携の背景・目的」として、上記のとおり述べられています。

○両社のマーケット開拓に関するノウハウを共有化・補完することで、優良な不動産賃貸・販売業者の開拓を積極的に進めます。
再保険取引や人材派遣等両社の経営に有益な取り組みを推進いたします。

また、「両社の今後の取り組み」には上記のとおり書かれています。
これらのことをまとめると、e-Net少短の増資をあいおい損保が引き受けることを契機に、e-Net少短の販売網を利用したあいおい損保の保険の販売および e-Net少短の利益を再保険の形であいおい損保に流すのがメインのように思われます。
 
あいおい損害保険(株)と(株)全管協共済会との業務資本提携および株式取得に関するお知らせ」
http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2009/20091204.pdf
あいおい損害保険株式会社 ニュースリリース 2009.12.4)
http://www.zk2.jp/pr_aioi.pdf
(株式会社全管協共済会 ニュースリリース 2009.12.4)

今後、あいおい損保の保険事業に関する経営ノウハウ、全管協共済会の商品・代理店網、更には、全管協共済会の筆頭株主であり全国の主要な賃貸管理業者とのネットワークを構築している全国賃貸管理ビジネス協会※のビジネスモデルおよびマーケティング力を融合し、大きなシナジー効果を発揮することで、あいおい損保並びに全管協共済会の事業拡大はもとより、お客様および不動産賃貸物件のオーナー様から一層の信頼と評価を頂ける商品・サービスを提供してまいります。

「業務資本提携の背景・目的」として、上記のとおり述べられています。あいおい損保から見ると、全管協共済会の持つ販売網を通じて、あいおい損保の保険を販売するのではないかと考えられます。ここで販売する保険は、おそらく全管協共済会とは競合しない傷害や新種になろうかと思います。
規模的には、e-Net少短に比較すると全管協共済会の方が大きく、今回あいおい損保が取得した株式も増資分ではないようです。全国賃貸管理ビジネス協会の保有している株を買ったという見方ができ、それを通じて全国賃貸管理ビジネス協会と提携しようということのように見えます。
 
これらはいずれも営業が行う販売網の拡大という見方ができますが、経営に近い部署での判断や社内調整が必要でしょうから、普通の営業部門での仕事ではなさそうです。損保で国内における収入保険料の増加の一手段としては販売網の拡大がありますが、これは単純な代理店の開拓だけでなく、再保険収入を狙っている点でもユニークです。
それと人材派遣についても多少は気になります。おそらくあいおい損保からの出向があることを示唆しているのではないかと思います。
この業務提携が成功だったかどうかについては、将来の結果を見なければ分かりませんが、少なくとも国内でまだやれることがあることを示す一例だと思います。