東京海上日動の自動車保険改定(保険法対応)(其の壱)

2010年1月始期から東京海上日動火災保険株式会社自動車保険も保険法改定が行われます。そして、同社のサイトの自動車保険のページが保険法改定後のものに変わっています。
約款も重要事項説明書も入手可能になっていますので、まずは重要事項説明書について見てみることにしました。
東京海上日動自動車保険について、今回を含めて2008年7月,2009年7月,2010年1月と改定していることとなりますが、重要事項説明書を改定しているのは2つ前の2008年7月改定と今回の2010年1月改定のタイミングのようです。
従って、2008年7月改定のものと違いを比較してみることにします。
 
ボリュームに関しては、表紙を含めて12ページ(実質11ページ)だったのが、表紙を含めて16ページに増えています。
とは言え、後の方の「各種アシスト」と「保険料の各種割引制度」のページは妙に大きくエリアが割かれており、スペースが空いているから入れてみたという意図がありありと見えます。
おそらく、全体としては実質1ページ程度のボリューム増のような気がします。
 
表紙には、以下の内容が追加されています。これは日本興亜損害保険株式会社の重要事項説明書に追加されたものと同じ主旨のものです。

ご契約者と補償を受けられる方が異なる場合は、ご契約者から補償を受けられる方にご契約内容やこの説明書の内容をご説明ください。

 
「重要事項説明書」のうちの「契約概要」に関しては目立った違いはありません。勿論、一字一句同じというわけではなく、細かな点では違いはありますが、文言・注釈の追加や特約名の変更によるものばかりです。
言いかえれば、今回の改定においては契約概要にあたる部分に大きな変更点はないということになろうかと思います。
 
一方、「重要事項説明書」のうちの「注意喚起情報」は、保険法による影響でいくつかの変更点が見られます。
「保険金をお支払いしない主な場合等」内の、共通して保険金を支払わない主な場合の箇所に競技・曲技等の免責に関する記載が追加になっています。これは、保険法に伴い、競技・曲技等が通知事項から免責事項になったことによるものと思われます。
「告知義務:弊社にお申出いただく重要事項」の書きぶりが保険法に沿った内容に変更されています。また、後のページに「告知事項・通知事項 一覧」があり、そこに具体的に告知事項が列挙されています。
「通知義務等」の書きぶりも保険法の通知義務に沿った内容に変更されています。なお、ここは契約内容変更や車両入替や事故発生時等に関する記述もありましたが、その内容はかなり縮小されています。
なお、通知事項の項目に関する通知が契約者よりあり、その結果として引受範囲外になった場合は保険会社は契約解除ができるのですが、そのことについては触れられていません。この点に関しては、不十分ではないかと思います。
 
東京海上日動の重要事項説明書には、「契約概要」・「注意喚起情報」以外に「その他のご注意点のご説明」が設けられており、ここについても多少の違いがあります。
「ご契約時にご注意いただきたいこと」において、「ご契約の取消し・無効・重大事由による解除について」の項が設けられています。これは今回の保険法で約款が改定されたことを踏まえたもののようです。
また、その次に「その他ご契約時にご注意いただきたいこと」があり、そこには以下の記載があります。

●記名被保険者またはそのご家族が、人身傷害保険、個人賠償責任補償特約、弁護士費用等補償特約(自動車)、他車運転危険補償特約(二輪・原付)またはファミリーバイク特約をご契約される場合で、既に他の保険でこれらと同種の保険商品をご契約されている場合には、補償が重複し、保険料が無駄になる場合があります。ご契約にあたっては補償内容を十分ご確認ください。

これも日本興亜損保の重要事項説明書で追加になっているのと同じ主旨です。おそらく、7月5日の「金融検査指摘事例集(平成20検査事務年度)」で触れた『自動車保険担当部門は、同点検時に、自動車保険の特約等の重複補償により、顧客が不要な保険料を負担している事案を把握しているにもかかわらず、同委員会への報告を行っていない。このため、複数の自動車保険契約を締結している契約者や世帯の保険契約において、特約等の重複補償により、顧客が不要な保険料を負担している事例が多数認められる。』と関係があるのではないかと思っています。
他にも、残存物代位の記載や更新後契約の事故に関する記載が追加となっています。
 
他にも、「申込書やご契約手続きについてのご説明」があります。
ここでは、「保険金額等について」において「対物賠償責任保険でお支払いする保険金の限度額」が追加されており、危険物に起因する場合は支払保険金は30億円限度である旨の記載があります。これは前回の改定で対応された内容であり、それが今回の重要事項説明書に反映したもののようです。
 
ざっと一通り見た感触としては、やはり全体として日本興亜損保のものと共通する変更点が多かったように思います。