反社会的勢力情報の保険業界と警察の連携

多数の反社会的勢力との取引を知りながら放置したことで株式会社みずほ銀行金融庁から行政処分を受けたことをきっかけに、マスコミ等を見ていると銀行業界では反社会的勢力に対する取組みが加速しているように感じられます。一般社団法人全国銀行協会は反社会的勢力に関するデータベースの接続に向けて11月にも警察庁と協議を始める方針だそうです。
保険業界はどうなのかと見てみると、生命保険に関してこんな記事がありました。
「生保協も警察情報活用へ=暴力団らと関係根絶」
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131018-00000010-jijnb_st-nb
時事通信 2013.10.18)

生命保険協会(加盟43社)が、暴力団員らとの契約や取引を未然に防ぐため、反社会的勢力に関する警察庁のデータベース(DB)を活用したシステム導入の検討に入ることが17日、明らかになった。年内にも協会内で意見集約を図り、警察庁と細部を詰めた上で、来年中には運用を始めたい考えだ。
みずほ銀行は系列信販会社を通じた暴力団融資を2年以上放置し、金融庁から行政処分を受けた。これを受け全国銀行協会の国部毅会長は17日、全銀協警察庁のDBのシステム接続を本格検討すると表明。保険業界も足並みをそろえることにした。

ただ、「保険業界も足並みをそろえることにした。」とありますが、生命保険業界のみで、損害保険業界の方は記事には書かれていません。
保険契約への暴力団排除条項の導入の取組みに関しては損害保険業界は生命保険業界よりも遅れており、今年度(しかも始期ベースでは下期)になって漸く数社が実際に暴力団排除条項を組み込んだ保険約款を適用し始めたという状況なので、おそらくまだ『反社会的勢力に関する警察庁のデータベース(DB)を活用したシステム導入の検討』は具体化していないのではないかと思います。
 
もう1点、気になる事があります。
警察庁のサイトの以下のページを見ると、「生命保険約款への暴力団排除条項の導入について(平成24年1月19日)」という文書があります。
http://www.npa.go.jp/pdc/notification/keiji.htm#bouryokudan
内容は、反社会的勢力に関する生命保険業界と連携の強化等に関する各都道府県警察への要請です。同様の内容の損害保険版があってもいいはずと思いますが、現時点では見当たりません。
単に警察庁による公開が遅れているだけならいいのですが、もし警察庁が損害保険業界に対する情報連携について及び腰だとすると問題が生じそうな気がします。(暴力団排除条項における賠償責任保険の整理がどうなっているのかを知っている上で私は書いています。)